オオガタスジシマドジョウ

オオガタスジシマドジョウ（Cobitis magnostriata）

オオガタスジシマドジョウは、日本固有の淡水魚であり、特に滋賀県の高島市安曇川をタイプ産地としています。この魚は日本の生態系の一部であり、琵琶湖やその流入河川に特有の種類です。近年、琵琶湖で育てられたアユの放流に伴って、この魚が他の地域にも移入され、広がりを見せていることが報告されています。オオガタスジシマドジョウは、魚類の種分化に関する研究においても重要な役割を果たす存在となっています。

生息環境

この魚の主な生息地は琵琶湖及びその周囲の河川で、特に水深が1～3メートルの沿岸部の砂底に多く生息しています。琵琶湖北湖の西岸では、岸に近い礫底と沖合の泥底の間に位置する砂底が好まれる場所とされています。近年では、稚アユの放流が行われた結果、山梨県笛吹川や東京都の多摩川水系など、他の河川にも生息が確認されています。三方湖にも類似の集団が存在するため、彼らの行動圏は広がっています。

形状と特徴

オオガタスジシマドジョウの全長は約8～12センチメートルで、このグループの中では最も大きく成長します。体の側面には縦に走る斑紋があり、腹側に位置する縦帯が特に太く、明確に見えます。また、骨質盤は円形の特徴を持ち、いくつかの鰭には特定の筋節数が確認されています。たとえば、胸鰭から腹鰭までの筋節数は通常14～15で、個体ごとに若干のばらつきがあります。特に、尾鰭の基部には2つのはっきりとした斑紋があり、体側全体にわたって黒色の色調が見られることがあります。これらの特徴は彼らを他の魚種と一目で区別する要素となっています。さらに、彼らは4倍体で、染色体数は98となっています。

繁殖行動と生態

オオガタスジシマドジョウは、1シーズンに1度の繁殖を行います。繁殖期は主に5月から6月にかけてであり、その際には農業用水路や小川に遡上していきます。卵は泥底で産卵され、直径約2.0ミリメートルの卵黄を持つ卵が約1.1ミリメートルの大きさでばらまかれます。孵化してから1～2日で外鰓が発達し始め、数日後には活発に水底を餌探しを行います。孵化から1か月後には親と同じような姿形に成長し、その後は河川や湖へと生活の場を移していきます。雄は約2年、雌は3年で成熟するとされています。

地域名と保存状況

滋賀県ではオオガタスジシマドジョウを「クルマドジョウ」や「シマドジョウ」とも呼びます。種小名の「magnostriata」は「偉大なスジシマドジョウ」という意味です。しかし、環境の変化や外来種の影響により生息地は減少しており、命の危機にさらされています。例えば、外来魚のブラックバスやブルーギルによる食害が確認されており、その生息数は減少しています。そのため、環境省はオオガタスジシマドジョウを絶滅危惧IB類に指定し、2019年にはIUCNレッドリストにも絶滅危惧種として登録されています。彼らの生息環境を守るための努力が求められています。

もう一度検索