タンマサート・スタジアム

タンマサート・ランシット・スタジアム

概要

タンマサート・ランシット・スタジアムは、タイ王国のほぼ中央部に位置するパトゥムターニー県に所在する、多目的に利用可能な競技施設です。具体的には、タイ国内でも有数の名門大学であるタンマサート大学の広大なランシット・キャンパス内に建設されています。正式名称は英語ではThammasat Rangsit Stadiumと表記されます。大学が所有・管理する施設でありながら、地域社会やタイ国内のスポーツイベントにおいても重要な役割を果たしています。

施設

この競技場の最大収容人数は25,000人を数え、サッカー試合など大規模なイベントにおいても、多くの観客を受け入れることが可能な規模を備えています。施設は多目的競技場として設計されており、主にサッカーの試合に活用されていますが、トラックなども併設されているため、陸上競技など他のスポーツイベントの開催も理論上は可能です。天然芝のピッチは良好なコンディションに保たれ、プロフェッショナルな試合開催にも適した環境が提供されています。

主な利用と歴史的側面

タンマサート・ランシット・スタジアムは、タイ国内におけるサッカーの中心的な会場の一つとして知られています。過去には、タイのプロサッカーリーグであるタイ・プレミアリーグ（当時の名称）に所属していたサッカークラブ、ポリス・ユナイテッドのホームスタジアムとして利用されていました。プロリーグの公式戦が定期的に開催されるスタジアムとして、多くのサッカーファンに親しまれてきました。

このスタジアムが特に注目を集めたのは、2013年の出来事です。この年、タイの首都バンコクでは大規模な反政府デモが頻繁に発生し、治安上の懸念から、通常、国内の主要スポーツイベントの会場として使用されることの多かったバンコク市内の施設、特にスパチャラサイ国立競技場などの利用が困難となる事態が生じました。これにより、代替となる安全な会場の確保が喫緊の課題となりました。

このような状況下で、バンコクからのアクセスも比較的良好であり、かつ主要な大会の開催に耐えうる規模と設備を備えていたタンマサート・ランシット・スタジアムが重要な代替地として選ばれました。結果として、2013年シーズンに予定されていたタイFAカップの決勝戦、タイ・リーグカップの決勝戦という国内サッカー界における二大カップ戦のファイナルが、急遽このスタジアムで開催されることとなりました。さらに、日本やその他のアジア諸国のクラブも参加することがある国際的な要素を含むトヨタプレミアカップも、このスタジアムを舞台に行われました。これらの主要大会が開催されたことは、タンマサート・ランシット・スタジアムの存在感を示す機会となり、その重要性を再認識させる出来事となりました。

まとめ

タンマサート・ランシット・スタジアムは、タイ王国パトゥムターニー県のタンマサート大学キャンパス内にある、25,000人収容の多目的競技場です。主にサッカーに利用され、プロクラブのホームスタジアムとしても機能しました。特に2013年には、政情不安によりバンコクの主要施設が使用できない状況下で、タイ国内の主要カップ戦決勝を含む重要な大会の代替会場を務めるなど、タイのスポーツシーンにおいて特筆すべき役割を果たした競技場です。大学施設でありながら、プロレベルのイベントにも対応できる能力を持つ施設として、現在も様々な用途で利用されています。

もう一度検索