タースーアー

タースーアーについて

タースーアー（アラビア語: تاسوعاء, translit. Tāsū‘ā’）とは、シーア派において非常に重要な日であり、イマーム・フサインが殉教する前日、すなわちイスラーム暦のムハッラム月9日を指します。この日とその翌日であるアーシューラーの間には、特にシーア派地域で追悼の儀式が行われ、イマーム・フサインとその異母兄弟アッバースの犠牲に対する懐念が表れます。

歴史的背景

タースーアーの日の数日前、ウマイヤ朝のカリフヤズィードによって派遣された軍が、イマーム・フサインとその一族の進路を封じていました。特にムハッラム月7日以降、フサインたちは水を手に入れることができず、敵軍の圧力は増していきました。ヤズィードは、フサインに自らに対する忠誠を求めるために、極端な手段を講じていましたが、フサインはその圧力にも屈することはありませんでした。

タースーアーの日、敵軍はフサインのテントに接近し、フサインはその意図を探るためにアッバースを使者として送りました。そこで、敵の軍勢がフサインたちを殺すつもりであることが判明しました。フサインはさらなる交渉のためにアッバースを送った結果、この夜は神への礼拝を行うために、一晩の延期を求めました。敵軍は応じ、翌日までの猶予を与えると伝えました。

最後の通告

タースーアーの日、フサインは自身の仲間を集め、彼らに対して最後の通告をしました。「ヤズィードの軍が狙っているのは私一人であり、あなた方はこの夜の暗闇を利用して、ここから離れるのが良い」と告げました。仲間たちはフサインに対する忠誠を再確認し、彼の勇気を称賛しました。フサインは仲間たちの忠誠心に深く感謝し、これまで出会った者たちの中で最も素晴らしい仲間たちであることを強調しました。

この日、アッバースは危険を冒して外に出て、川から水を運ぼうとしました。彼は敵に包囲された状況の中で、水を汲んで戻るものの、自身は一滴も飲むことなく、全てを仲間に分け与えたと言われています。この行動は、彼の高潔さと忠誠心の象徴として今も多くの人々に記憶されています。

イランにおけるタースーアー

イランでは、タースーアーとアーシューラーの日に行われる追悼儀式は非常に盛大です。人々は黒い服を着用し、フサインとその仲間たちの殉教を思い起こします。中には体に鎖を打ちつけたり、体を叩くことでその痛みを共有するものもいます。このような儀式は、フサインの偉大なる献身を称える重要な行事となっています。

特にヤズドにおける追悼儀式は有名であり、国内外から多くの参加者が訪れ、その重要な日を共に追悼します。このように、タースーアーは単なる歴史的な出来事ではなく、信仰の象徴として、今も多くの人々に影響を与え続けているのです。

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