ターター・システム

ターター・システム（Tartar System）

ターター・システムは、アメリカ合衆国が開発した中距離艦対空ミサイルシステムであり、その名は初期モデルであるRIM-24ターターから取られています。このシステムは艦の防空能力を高めるために設計され、ミサイルの進化に伴い名称が変わったにもかかわらず、ターターという呼称が広く使われています。

1. 来歴

ターター・システムは、RIM-24ターターの初実用化後に登場しました。当初、このシステムはミサイル自体と、その発射機（GMLS: Guided Missile Launching System）、射撃管制システム（FCS: Fire Control System）、武器管制システム（WDS: Weapons Direction System）を備えたアナログ式の対空ミサイルシステムでした。しかし、信頼性に課題があったため、海軍は1964年に新たな先進水上ミサイルシステム（ASMS）計画を開始することになります。ASMSは非常に野心的なプロジェクトであったため、実用化までには長い時間が必要とされています。

1965年からはターター-D・システムの開発が始まり、これは既存のアナログシステムのコンセプトを継承しながら、デジタル技術を取り入れました。ターター-D・システムは、様々なセンサー入力と情報処理機能の統合を行い、艦隊防空の強化に貢献しました。1969年にはASMSはイージス計画に名称変更され、1983年から本格的な運用が始まりました。

ターター-Dの開発は予想以上に難航し、特に主要なサブシステムが新規開発であったことと、各サブシステムの統合理解が不足していたため、初の搭載艦の就役は大幅に遅れました。それでも、ターター-D・システムは多くの重要な結果をもたらし、イージスシステムの実用化に向けた貴重な経験を提供しました。

日本の海上自衛隊では1976年に「たちかぜ型護衛艦」がターター-D・システムを採用し、1982年には「（艦名）あまつかぜ」がデジタルシステムに移行しています。1993年からは「こんごう型護衛艦」へのイージス・システムの導入が始まりました。

2. システム構成

ターター・システムは多様な構成を持ち、以下のコンポーネントで構成されています。

• - 3次元レーダー: ターゲットの捜索を行い、情報を射撃指揮装置に送信します。
• - 武器管制システム（WDS）: 脅威の評価後、弾薬配分を自動的に管理し、攻撃命令を指示します。
• - ミサイル射撃指揮システム（FCS）: ミサイルによる攻撃を実行するので、艦対空ミサイルの中心となります。
• - 誘導ミサイル発射システム (GMLS): ミサイルを発射するための装置です。

このシステムは、米海軍のチャールズ・F・アダムズ級駆逐艦や海上自衛隊の「あまつかぜ」などで運用され、特に3次元レーダーは防空艦の主要センサーとして機能しました。最初のバージョンではAN/SPS-39レーダーが搭載され、後に改良型が続きました。高性能のため、ターター・システムは駆逐艦だけでなく巡洋艦にも搭載されました。

3. ミサイルと運用

ターター・システムでは、最初に使用されたのはRIM-24ターターで、後に改良型RIM-66スタンダード・ミサイルへと進化しました。これらのミサイルは、セミアクティブ・レーダー・ホーミング方式を採用し、射程は改良されました。特にスタンダード・ミサイル2型（SM-2）は、慣性誘導と指令誘導を融合させ、新たな運用能力を提供しました。

また、ターター・システム搭載艦は、後に行われたNTU改修を受け、指揮統制能力や同時交戦能力を飛躍的に向上させ、「貧者のイージス艦」とも称されました。NTU改修によって、さらなる防空能力の向上が期待され、より効率的な防空システムとして進化し続けています。

このように、ターター・システムは艦船の防空を支える重要な技術として、多くの国で活躍しています。

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