タートル岡部

タートル岡部

本名、岡部 義光（おかべ よしみつ）として知られるタートル岡部は、1949年6月18日に福島県で生まれた日本の元プロボクサーです。現役時代は笹崎ジムに所属し、日本ボクシング界において二つの異なる階級の頂点を極めた功績を持っています。すなわち、日本ジュニアミドル級と日本ミドル級の王座を獲得し、日本タイトル2階級制覇という偉業を達成しました。

私生活においては、相撲界との深い縁があります。元大関・清國（きよくに）関の妹さんと結ばれ、二人の息子をもうけました。その長男は、かつて大相撲の十両で活躍した玉ノ国（たまのくに）として、また次男は、同じく相撲界で幕内上位、関脇まで昇進した玉乃島（たまのしま）として知られています。ボクシングという異なる分野で頂点を目指した父を持ちながらも、息子たちは伝統ある相撲の世界で自身の道を切り開いたことは特筆すべきでしょう。

タートル岡部のプロボクシングキャリアは、1967年5月10日にスタートしました。デビュー後、着実に経験を積み、国内トップ戦線へと浮上します。そして、プロ入りから4年が経過した1971年2月24日、彼は初めて日本王座のチャンスを掴みます。この時、カシアス内藤氏が返上し空位となっていた日本ミドル級のタイトルを巡り、星野哲雄選手と対戦。激しい戦いの末、判定で勝利を収め、第23代日本ミドル級王者となりました。しかし、獲得した王座の防衛は容易ではありませんでした。わずか2ヶ月足らず後の同年4月19日に行われた初防衛戦で、挑戦者のジョージ・カーター選手に判定で敗れ、短い王座期間を終えることとなりました。

ミドル級王座を失った後も、タートル岡部は新たな目標を見据えます。一つ下の階級であるジュニアミドル級（現在のスーパーウェルター級）での挑戦です。1972年12月18日、再び空位となった日本王座決定戦の舞台に立ちます。輪島功一（当時の表記は輪島公一）氏が返上した日本ジュニアミドル級王座を争う相手は、堀畑道弘選手でした。この一戦でタートル岡部は圧倒的な力を見せつけ、5ラウンドKOという鮮やかな勝利を飾り、第6代日本ジュニアミドル級王者となりました。これにより、彼は異なる二つの階級で日本王座を獲得するという、日本ボクシング史上でも数少ない2階級制覇の快挙を成し遂げたのです。

しかし、ジュニアミドル級での王座も、ミドル級と同様に防衛の壁に阻まれます。王座獲得から約4ヶ月後の1973年4月4日、初の防衛戦で加島雷三選手と対戦。この試合に判定で敗れ、王座から陥落します。さらに、その3ヶ月後に行われた加島選手との再戦でも、雪辱を果たすことはできず、再び判定負けを喫しました。結果として、彼は獲得した二つの日本王座をいずれも一度も防衛することができませんでした。

タートル岡部のプロキャリアを通じての通算戦績は、41戦を戦い、21勝（うち8KO）16敗4引分けという記録を残しています。日本ボクシング界に名を刻んだ彼のキャリアは、二つの階級での頂点到達という輝かしい功績とともに、王座防衛の難しさも示すものでした。

彼が獲得したタイトルは、第23代日本ミドル級王座（防衛0度）と、第6代日本ジュニアミドル級王座（防衛0度）です。

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