ターレットトラック

ターレットトラックについて

ターレットトラックは、その名の通り、360度回転可能な円筒形の動力部を持つ運搬車の総称です。これらのトラックは、卸売市場や工場、倉庫、さらには鉄道駅の構内など、さまざまな場所で幅広く使用されています。その機能性と小回りの良さから、荷役用の必須アイテムとなっています。

名称と規制

日本では、ターレットトラックは「ターレット式構内運搬自動車」として法令で規定されています。一般には「ターレット」や「ターレ」という略称も広まっており、特に市場関係者の間では「ぱたぱた」や「ばたばた」とも呼ばれることがあります。以前は朝霞製作所がこの名称を商標登録していたため、特定の企業の製品に限られていましたが、普通名称化したため、現在では他社の製品も同様の言葉で呼称されています。2012年に朝霞製作所が自己破産したことにより、この商標登録は無効となりました。

ターレットトラックの構造

ターレットトラックの主要な特徴は、その構造にあります。動力源はガソリンエンジンまたはモーターで、これらはターレットという回転部に収められています。このターレットの後方には運転台が配置されており、運転者はターレット全体を回転させることで操舵を行います。前輪が360度回転するため、最小回転半径が非常に小さく、狭い場所での動きにも対応できます。ただし、比較的重いユニットを回転させながら操舵する必要があるため、他の乗り物に比べて扱いが難しい点もあります。

定員は原則1名で、運転はターレットの後部で立った姿勢で行います。運転操作はハンドルを使用し、内側の小さなハンドルでアクセル操作をします。最高速度は機種により異なりますが、一般に15 km/h程度です。ブレーキ装置も装備されています。

また、ターレットトラックには、環境に配慮したモデルも存在します。生鮮食品を扱う現場では低公害の天然ガスを燃料とするエンジンが用いられることが多く、冷蔵設備のある倉庫等では排気ガスを出さない電動式モデルが使用されることもあります。しかし、電動式は充電に時間がかかり、一度の充電での運用時間が限られるため、2006年以降は燃料電池を搭載するモデルの開発も進んでいます。

使用範囲

ターレットトラックのほとんどの機種は、小型特殊自動車として登録されるため、登録を済ませることで公道を走行することも可能です。この場合、市区町村から緑色のナンバープレートが交付されます。かつては国鉄や旧郵政省で使用されていた牽引専用のターレットトラックも存在し、駅構内で荷物や郵便物を運搬するために利用されていました。搬送装置と組み合わせて、駅間を移動するためにも重宝されていました。

主なメーカーと製品

ターレットトラックの主な製造元にトヨタ、朝霞製作所、富士重工業、三菱ロジスネクスト、関東機械センターなどがあります。各社は独自のモデルを展開しており、特にトヨタの「タグノバ」や朝霞製作所の「ターレットトラック」が有名です。

玩具や模型

ターレットトラックは、玩具や模型としても様々な形で取り扱われています。青島文化教材社ではプラモデルが販売され、タカラトミーはミニカーシリーズを展開しています。また、ラジコンカーやカプセルトイなども登場しており、ターレットトラックのファンにとって興味深いアイテムとなっています。

以上のように、ターレットトラックは多機能で多様な使用目的を持つ運搬車であり、物流や運搬業界において重要な役割を果たしています。

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