ターンレフト・ターンライト

『ターンレフト・ターンライト』（原題：向左走・向右走）は、2003年に公開された香港とシンガポールが合作したラブコメディ映画です。台湾の絵本作家、幾米（ジミー）の作品『Separate Ways』（邦題：君のいる場所）を原作としていますが、映画版では原作のイメージを膨らませつつ、大胆な改変が加えられています。撮影は、ロケーションの都合上、屋外シーンは台北で、室内シーンは香港で行われました。

主演は、金城武とジジ・リョン。二人は1999年の『君のいた永遠（とき）』以来の共演となり、息の合った演技を見せています。物語の中心となるのは、若手バイオリニストのジョン（金城武）と翻訳家のイブ（ジジ・リョン）の恋模様です。二人は幼い頃、サマーキャンプで出会い、お互いに好意を抱いていましたが、その後は音信不通になっていました。

運命的な再会を果たした二人でしたが、大雨のせいで電話番号がにじんでしまい、連絡先が分からなくなってしまうというハプニングに見舞われます。覚えているのは、お互いの学生時代の学籍番号だけ。さらに、二人は壁一枚を隔てた隣同士のアパートに住んでいながら、アパートの入り口が離れており、ジョンがいつも右に、イブがいつも左に曲がるため、すれ違い続けてしまうという、なんとも切ない状況に陥ります。

そんな中、個性的な女性シャオホンと男性フーが、それぞれジョンとイブにアプローチを始めます。最初はジョンの恋路を邪魔しようと企むシャオホンとフーでしたが、ジョンとイブが微妙な距離感を保ちながら、決して離れることのない運命に導かれていることに気づき、考えを改めます。そして、二人が出会えるよう、様々な作戦を練り始めます。

しかし、それでもすれ違いは続きます。そんな中、ある自然現象をきっかけに、ジョンとイブは思いがけない形で、お互いの存在を確認することになります。この出会いを阻むかのような様々な困難や、二人の周りの人々の思惑、そして運命のいたずらのような偶然が複雑に絡み合いながら、物語は展開していきます。

映画の成功を受けて、2004年には中国で全22話の連続テレビドラマとしてリメイクされました。主演はルー・イーとアリッサ・チア。台湾の歌手、マイケル・ウォン（光良）が歌う主題歌「向左走・向右走」を収録したアルバムは、中華圏で大ヒットを記録しました。

映画『ターンレフト・ターンライト』は、原作を基にしながらも、独自の解釈を加え、独特の世界観を作り上げた作品と言えるでしょう。金城武とジジ・リョンの繊細な演技、そして運命的な出会いとすれ違い、そして、再会へと至る二人の恋物語は、多くの観客の心を掴み、今もなお、多くの人々に愛され続けています。DVDは『ターンレフト・ターンライト 特別版』として発売されており、オリジナル音声（北京語）と日本語吹き替え、そして広東語バージョンも収録されています。

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