ダイアモンド・ヘッド (曲)

ダイアモンド・ヘッド

「ダイアモンド・ヘッド」（Diamond Head）は、アメリカのインストゥルメンタル・ロックバンド、ザ・ベンチャーズが1964年に発表した楽曲である。彼らのアルバム『ウォーク・ドント・ラン Vol.2』に収録され、後にシングルとしてもリリースされた。この楽曲は、ハワイの有名な地形であるダイヤモンドヘッドにインスパイアされたものとされ、印象的なエレキギターのメロディーとサウンドが特徴である。

アメリカ本国でのシングルリリース時、B面にはアルバム『ノック・ミー・アウト』からの楽曲「ロンリー・ガール」がカップリングされた。しかし、日本国内で発売されたシングル盤では、同じく『ウォーク・ドント・ラン Vol.2』収録曲である「朝日のあたる家」がB面として採用されており、リリース形態によって内容が異なっていた。

商業的な成果を見ると、アメリカのシングルチャートでは最高位70位に留まった。これに対し、日本では驚異的な人気を獲得し、ザ・ベンチャーズの楽曲の中で最も広く知られ、愛される代表曲の一つとなった。その人気は、楽曲がテレビ番組のBGMとして頻繁に使用されたり、多くのミュージシャンによってカバーされたりしていることからも明らかである。この楽曲が、日本の音楽シーンにおけるエレキサウンドの普及に果たした役割は大きいとされる。

ザ・ベンチャーズ自身による「ダイアモンド・ヘッド」の主なリリースは以下の通りである。

アルバム『ウォーク・ドント・ラン Vol.2』: 1964年10月にアメリカでDoltonレーベルから発売されたオリジナルアルバム。モノラル盤(BLP-2031)とステレオ盤(BST-8031)が存在する。日本盤は『ウォーク・ドント・ラン'64』と改題され、曲順も変更されて1965年3月に東芝音楽工業からリリースされた(LP-7174)。
シングル盤: アメリカではDoltonレーベルから1965年1月にリリースされた(Dolton 303)。日本でも東芝音楽工業から同時期の1965年1月に発売された(LR-1177)。1968年7月には、カップリングに「パイプライン」を収めたシングル盤も東芝音楽工業から再リリースされている(LR-1968)。さらに、1977年9月にはキングレコードから「ダイヤモンド・ヘッド」と曲名表記を変更したシングル盤も発売された(CM-76)。
コンパクト盤: 日本独自の形態として、4曲入りコンパクト盤が1965年4月に東芝音楽工業から発売された(LP-4051)。この盤には「ダイアモンド・ヘッド」のほか、「パイプライン」「急がば廻れ」「10番街の殺人」といった代表曲が収められていた。
その他のアルバム: 1979年のアルバム『オリジナル・フォー』(東芝EMI EWS-81264)や、1999年のベスト盤『V-Gold』(M & I MYCV-30001)に収録されている。また、2007年のアルバム『ロッキー！』(EMIミュージック・ジャパン TOCP-70259)には、「ダイアモンド・ヘッド2007」としてリメイクバージョンが収められた。この楽曲は、彼らのライブ盤や数多くのベスト盤にも定番曲として多数収録されている。

「ダイアモンド・ヘッド」は多くの日本のミュージシャンによってカバーされていることでも知られる。代表的なカバーバージョンには以下のようなものがある。

渚の女王様: 1996年に日本語詞がつけられてカバーされた。このバージョンはフジテレビ系アニメ『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の初代オープニングテーマ曲として使用され、新たな世代にも知られるきっかけとなった。
井上宗孝とシャープ・ファイブ: 1971年に彼らのアルバム『ベンチャーズに挑戦』に収録された。
加山雄三＆ハイパーランチャーズ: 1997年のアルバム『鯛取る』において、「パイプライン」とのメドレー形式でカバーされている。
寺内タケシとブルージーンズ: 1966年のアルバム『ブルージーンズ・ゴールデンアルバム』に収録。
* 田辺昭知とザ・スパイダース: 1966年リリースのコンパクト盤『リバプール・サウンズ』に収められた。

これらの広範なリリースと多様なカバーは、「ダイアモンド・ヘッド」が日本のポピュラー音楽史において、単なる海外ヒット曲としてだけでなく、エレキインストゥルメンタルというジャンルを確立し、後続のミュージシャンに大きな影響を与えた楽曲であることを物語っている。

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