ダイオキシン類対策特別措置法

ダイオキシン類対策特別措置法

概要

ダイオキシン類対策特別措置法（平成11年法律第105号）は、ダイオキシン類が人間や環境に及ぼす有害な影響を抑制するためにつくられた法律です。この法律は、ダイオキシン類を含む有害物質による環境汚染の防止や除去を目的としており、国民の健康を守るために必要な基準や規制を定めています。

法律の目的

この法律の主な目的は、ダイオキシン類が引き起こす可能性のある健康への影響を考慮し、適切な施策を講じることです。具体的には、ダイオキシン類に関する基準や規制を整備し、環境の汚染を防止すること、ごみ焼却などからの排出物の管理を行うことが求められています。

制定の背景

1998年、特に大阪府能勢町において、ごみ焼却炉の影響で土壌が高濃度に汚染される事例が発覚し、全国的にダイオキシン類による汚染が広がっていることが報告され、社会的関心が高まりました。このような状況を受けて、1999年には、ダイオキシン類緊急措置法案が提出され、その後、国会で可決されて特別措置法が成立しました。

主要な内容

この法律においては、以下のような具体的な取り組みが盛り込まれています。

1. 耐容一日摂取量（TDI）の設定

法律では、1日当たりの安全な摂取量を「耐容一日摂取量」として定めています。これは、人が生涯にわたり継続して摂取しても健康に影響を与えないとされる基準であり、具体的には4pg/kg/日以下とされています。

2. 環境基準の設定

環境基準は、人の健康を保護するために維持すべき基準として設定されています。以下は、具体的な環境基準の一例です。

• - 大気: 0.6pg-TEQ/m3以下（年平均）
• - 水質: 1pg-TEQ/l以下（年平均）
• - 水底の底質: 150pg-TEQ/g以下
• - 土壌: 1,000pg-TEQ/g以下

3. 特定施設からの排出規制

特に環境汚染のリスクが高い施設として、特定施設が指定され、これらの施設からの排出物に対して厳しい排出基準が設けられています。事業者は、これらの施設について都道府県に届出を行い、毎年排出物の測定結果を報告しなければなりません。

4. 汚染土壌に関する措置

ダイオキシン類によって汚染された土壌についても措置が講じられます。都道府県知事は、土壌汚染の状況を確認し、必要に応じて汚染対策地域を指定することができます。これにより、汚染された土壌の除去などの措置が行われることになります。

所轄官庁

この法律に基づく施策は、主に環境省が所管しています。環境省は、法律の運用を監視し、適切な対策が実施されるよう努めています。

結論

ダイオキシン類対策特別措置法は、環境の保護と国民の健康を守るための重要な法律です。これにより、ダイオキシン類による環境汚染を抑制し、公衆衛生を向上させることが期待されています。

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