ダイシャクシギ

ダイシャクシギ（大杓鷸）

ダイシャクシギ（学名: Numenius arquata）は、チドリ目シギ科に属する鳥類の一種で、その名の通り、大きく下に湾曲した独特のくちばしが際立つ鳥です。ユーラシア大陸の広範囲に分布し、渡り鳥として日本にも飛来します。

分布

ダイシャクシギは、北欧から中央アジアにかけての内陸部で繁殖期を過ごし、冬を迎えるにあたって西ヨーロッパ、アフリカ、中東、インド、東南アジアなどの沿岸地域へと移動します。同じく日本で見られるホウロクシギと比較すると、ダイシャクシギの方がより広範な地域に分布しているのが特徴です。

日本では、主に春と秋の渡りの時期にその姿が観察される「旅鳥」として知られていますが、一部の個体は日本で越冬することもあります（冬鳥）。

形態

全長は約60cmで、日本に飛来するシギ類の中ではホウロクシギと並び、最大級の大きさを誇ります。長い脚と特徴的な湾曲したくちばしが目を引きます。頭部から翼にかけての羽毛は、褐色を基調とした細かい斑点模様で覆われています。外見や生態がよく似ているホウロクシギとの区別が難しい場合がありますが、飛び立った際に後半身が白っぽく見えるのが、ダイシャクシギの特徴です。

生態

渡りの時期には、主に河口や海岸の干潟に生息し、数羽から数十羽程度の群れを形成して生活します。干潟をゆっくりと歩き回りながら、特徴的な長い嘴を巧みに利用して、カニやゴカイなどの獲物を捕食します。ホウロクシギと混群を形成することも珍しくありません。

繁殖期には、つがいとなり、縄張りを持って生活します。草地や湿原といった環境を好みますが、やや乾燥した場所を好む傾向があります。草地の地上に巣を作り、通常4個の卵を産みます。雌雄が協力して抱卵を行い、抱卵期間は約27日から29日です。

ダイシャクシギは、飛翔中に「ホーヒィーン」という独特の声で鳴きます。この鳴き声は、遠くからでもダイシャクシギの存在を知らせてくれます。

日本の野鳥一覧

ダイシャクシギは、日本の豊かな自然を象徴する野鳥の一種です。干潟などの環境保全を通じて、ダイシャクシギをはじめとする様々な野鳥たちが安心して暮らせる環境を守っていくことが重要です。

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