ダイソン (企業)

ダイソン（Dyson Limited）

ダイソンは、シンガポールに本拠を置く電気機器メーカーであり、特にサイクロン式掃除機で世界的に知られています。創業者のジェームズ・ダイソンは、従来の紙パック式掃除機の吸引力低下に不満を持ち、紙パック不要のデュアルサイクロン方式を開発しました。この革新的な技術が、ダイソンの成功の原点となっています。

沿革

1983年、ジェームズ・ダイソンは、大鋸屑の集塵機からヒントを得て、サイクロン掃除機の試作品「G・フォース」を完成させました。この試作品がアメリカの雑誌に掲載されたことをきっかけに、1985年に日本の商社エイペックスによって製品化が決定しました。ダイソンは、この契約で78,000ドルの先払いと10％のロイヤリティを受け取り、「G・フォース」は1989年にシルバー精工によって発売されました。

しかし、イギリス国内にはダイソンのライセンスに基づいてサイクロン式掃除機を製造するメーカーがなかったため、ダイソンは自社で製造販売を開始しました。その後、日本からのライセンス料を元手にダイソン社を設立し、1993年6月にはウィルトシャーに研究所と工場を開設し、新型掃除機DC01を開発しました。

長年、ウィルトシャーで生産を続けていましたが、2002年にはコスト削減のため、マレーシアの工場に生産を移転しました。この工場閉鎖は議論を呼びましたが、ダイソン側はウィルトシャーの本社・研究所の強化のためであり、イギリスでの雇用人数は工場移転前よりも増加したと反論しました。現在、基幹部品であるデジタルモーターはシンガポールで全数生産されており、同国には新技術センターも設置される予定です。

2017年には、電気自動車の開発を通じて自動車業界への参入を発表しましたが、2019年には採算性の問題から撤退を決定しました。ダイソンの社内にはデザイナーがおらず、デザインはエンジニアが担当しています。2000人を超えるエンジニアが、ダイソンの革新的な製品開発を支えています。

旗艦店

2015年4月17日、世界初の旗艦店が東京にオープンしました。これは、ダイソンのブランドを象徴する重要な拠点となっています。

掃除機

ダイソンは、数多くの革新的な掃除機を開発してきました。以下は主なモデルの一部です。

DC01 - ダイソン初の製品で、フィルター交換方式を採用した縦型掃除機。
DC02 - 初のキャニスター型掃除機。
DC03 - 軽量化された扁平縦型掃除機。
DC04 - DC01の後継モデル。
DC05 - キャニスター型第2号機。
DC06 - 初の本格的な自動掃除機。
DC07 - ルートサイクロン方式の縦型掃除機。
DC08 - ルートサイクロン方式のキャニスター型掃除機。
DC08TW - 軽量伸縮パイプを採用し小型化に成功。
DC11 - 日本未発売モデル、パラレルルートサイクロン搭載。
DC12 - 高速デジタルモーター採用、軽量化モデル。
DC12plus - DC12の進化型、カラーと素材を変更。
DC14 - 縦型掃除機の改良版、テレスコープハンドルを採用。
DC15 - ボールテクノロジーを採用、機体の舵取りが可能。
DC16 - 初のハンディタイプクリーナー。
DC17 - 日本未発売、DC14の改良型。
DC18 - 日本未発売、縦型掃除機の改良版。
DC19 - 英国での最廉価モデル。
DC20 - 回転式ブラシ付きのヘッドを採用。
DC21 - DC20の改良型。
DC22 - ルート8サイクロンを搭載、フィルター洗浄頻度を低減。
DC23 - 現在発売中のキャニスターモデル。
DC24 - 縦型掃除機の日本向け最新版。
DC25 - 縦型掃除機の海外最新版。
DC26 - DC23の日本向け小型軽量化モデル。
DC31 - ハンディタイプクリーナー第2号機。
DC34 - ハンディタイプクリーナー、DC31の後継機種。
DC35 - スティック型コードレスクリーナー。
DC36 - ボールテクノロジー採用のキャニスターモデル。
DC45 - コードレスクリーナー、バッテリー駆動時間強化。
DC46 - キャニスター型掃除機、32ルートサイクロン採用。
DC61 - ハンディタイプクリーナー、ダイソンデジタルモーターV6搭載。
DC62 - スティック型コードレスクリーナー、DC61と同等。
DC74 - 排気の微粒子をカット。
V6シリーズ - 多数のモデル展開。
Dyson 360 Eye - 初のロボット掃除機。
V8シリーズ - スティック型コードレスクリーナー、騒音を削減。
V7シリーズ
V10シリーズ - スティック型コードレスクリーナー、吸引力向上。
Dyson 360 Heurist
V11シリーズ

掃除機の特色

ダイソン掃除機の最大の特徴は、サイクロン方式を応用している点です。この方式は、微細なホコリを分離するために、複数のサイクロン機構とフィルターを使用しています。ダイソンのキャッチコピーである「吸引力が変わらない」は、誇張表現であると指摘されていますが、吸引力の低下を最小限に抑える工夫がされています。

ダイソンの掃除機は、吸引したゴミやほこりの目詰まりによる吸引力の低下が少ない反面、サイクロン部でのパワーロスが大きく、吸込仕事率が低いという欠点があります。また、モーター付近での空気の高速回転により熱がこもりやすく、モーターが焼損しやすいという課題も抱えています。

ダイソンの掃除機は、紙パックを必要としない一方で、こまめなゴミ捨てやフィルターの定期的な洗浄が必要になります。また、「騒音が大きい」「ホースが扱いづらい」「パーツの耐久性が弱い」などの指摘もあります。しかし、アレルギー対策に有効であると英国アレルギー協会の認証を受けています。

掃除機以外の製品

ダイソンは、掃除機以外にも様々な製品を展開しています。

Dyson Airblade - ハンドドライヤー。掃除機で培った技術を応用しています。
Air Multiplier - 羽根のない扇風機。独自の技術で均一な風を送ります。
Dyson Hot + Cool™ ファンヒーター - エアマルチプライアーに暖房機能を搭載。
Dyson Hygienic Mist - 超音波式加湿器。除菌用UV-Cライト搭載。
Dyson Pure Cool™ - 空気清浄機。高性能HEPAフィルター搭載。
Dyson Zone - 空気清浄ヘッドホン。

過去の主要製品

ダイソン式手押し車 - ボールを利用した手押し車。
ドラム二槽式洗濯機『CR01』 - 二重反転テクノロジーを採用。

テレビ番組

ダイソンは、数多くのテレビ番組で取り上げられてきました。

日経スペシャル ガイアの夜明け - 日本向け商品開発の裏側。
日経スペシャル カンブリア宮殿 - ダイソン創業者ジェームズ・ダイソンが出演。

スポンサー番組

ダイソンは、多くの人気番組のスポンサーを務めています。現在はPTとして提供しています。

書籍

ダイソンの創業と歴史、製品開発に関する書籍が発売されています。

脚注

ダイソンの製品や歴史に関する情報は、信頼できる情報源を参照してください。

外部リンク

ダイソン公式サイト: ダイソン公式サイト
X（旧Twitter）: @dysonjp
[Facebook]]: [Dyson
[Instagram]]: [@dyson_jp
YouTubeチャンネル: Dyson

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