ダイナマイト漁

ダイナマイト漁とは：破壊的な漁法の実態

ダイナマイト漁とは、水中で爆発物を爆発させ、その衝撃波で魚を死なせたり気絶させたりして捕獲する漁法です。爆発漁法、爆弾漁法、爆破漁、発破漁とも呼ばれます。

概要

ダイナマイト漁は、手軽に大量の魚を捕獲できるため、一部の地域で現在も行われています。しかし、その漁法は環境に深刻な影響を与えます。

サンゴ礁で行われた場合、爆発の衝撃でサンゴを破壊し、死滅させてしまいます。また、魚の浮き袋を破裂させ、多くの魚が海底に沈んでしまうため、生態系全体に大きなダメージを与えます。

現在でも、東南アジア、エーゲ海沿岸、アフリカ沿岸などで行われており、フィリピンでは硝酸塩と起爆剤をガラス瓶に詰めた即席の手榴弾が使用されています。

日本におけるダイナマイト漁

日本では、第二次世界大戦後に不発弾を利用した漁が沖縄などで行われていました。しかし、その危険性と環境への影響から、現在では厳しく規制されています。

水産資源保護法第5条では、「爆発物を使用して水産動植物を採捕してはならない」と明記されています。ただし、海獣捕獲や調査研究のために農林水産大臣の許可を得た場合は例外とされます。また、火薬類取締法の規制も受けるため、爆発物を用いた漁法は原則として禁止されています。

2001年には、北海道の大沼湖沼群で外来魚のブラックバスが発見され、水中発破による駆除が検討されましたが、水産資源保護法などの規制により中止されました。

ダイナマイト漁の問題点

ダイナマイト漁は、以下の様な多くの問題を抱えています。

生態系の破壊: 爆発により、サンゴ礁や海底の生態系が破壊され、回復に長い年月を要します。
資源の枯渇: 未成魚や保護対象の魚も無差別に捕獲してしまうため、水産資源の枯渇を招きます。
漁業者の危険: 爆発物の取り扱いを誤ると、漁業者自身が死傷する可能性があります。
不法行為: 民間人が爆発物を所持することは違法であり、犯罪行為に繋がる恐れがあります。

各国の規制

上記のような問題点から、世界の多くの国でダイナマイト漁は禁止されています。しかし、一部の地域では、依然として行われており、取締りの強化が求められています。

ダイナマイト漁が登場する作品

風の又三郎: 宮沢賢治の童話。作中では「発破」という名称でダイナマイト漁が登場します。
アダムス・ファミリー: 登場人物がダイナマイト漁を行う場面が存在します。
まんぷく: 上記同様に、ダイナマイト漁を行う場面があります。
爆弾太平記: 夢野久作による、大正時代の朝鮮半島近海での爆弾漁をモチーフとした小説。


ダイナマイト漁は、一度の漁で大量の魚を捕獲できる一方で、環境への負荷が非常に大きい漁法です。持続可能な漁業を実現するためには、ダイナマイト漁のような破壊的な漁法を根絶し、資源保護と環境保全に配慮した漁業を推進していく必要があります。

もう一度検索