ダウンクォーク

ダウンクォーク（記号: d）は、物質を構成する基本的な素粒子の一つであり、第一世代のクォークに分類されます。

概要

ダウンクォークは、クォークの中でも2番目に軽い種類であり、-1/3e の電荷を帯びています。裸の質量は4～8 MeV程度と推定されています。素粒子物理学の標準模型においては、アップクォークと共に、原子核を構成する核子（陽子と中性子）の主要な構成要素としての役割を果たしています。

具体的には、陽子はアップクォーク2個とダウンクォーク1個から構成されており、中性子はアップクォーク1個とダウンクォーク2個から構成されています。このように、ダウンクォークは、身の回りの物質を形作る上で欠かせない存在です。

クォークの存在は、1964年にゲルマンとツワイクによって提唱されたクォークモデルによって予言されました。その後、1968年にSLAC（スタンフォード線形加速器センター）で行われた深非弾性散乱実験において、原子核がより小さな構成要素からできていることを示す初めての実験的証拠が発見され、クォークの存在が裏付けられました。

ダウンクォークは、ベータ崩壊（β⁻崩壊）と呼ばれる現象を通じて、アップクォークへと変化することが知られています。このベータ崩壊は、原子核の安定性や放射性崩壊といった現象に深く関わっています。

ダウンクォークの特性

電荷: -1/3e
質量: 4～8 MeV (裸の質量)
世代: 第一世代
構成: 陽子、中性子
崩壊: β⁻崩壊によりアップクォークへ

クォークモデル

クォークモデルは、ハドロン（陽子、中性子など）をクォークと反クォークの組み合わせで説明するモデルです。このモデルによると、バリオン（陽子、中性子など）は3つのクォークから構成され、中間子はクォークと反クォークの組み合わせから構成されます。ダウンクォークは、アップクォークと共に、最も軽いバリオンである陽子と中性子を構成する主要なクォークです。

アイソスピン

アイソスピンは、強い相互作用における粒子の対称性を記述する概念です。アップクォークとダウンクォークは、アイソスピンの二重項を形成し、強い相互作用においてはほぼ同じ質量を持つとみなされます。このアイソスピンの概念は、原子核物理学において重要な役割を果たしています。

まとめ

ダウンクォークは、物質を構成する基本的な素粒子であり、陽子や中性子といった核子の構成要素として重要な役割を果たしています。クォークモデルやアイソスピンといった概念を通じて、素粒子物理学や原子核物理学において深く理解されています。

関連項目

クォーク
アップクォーク
標準模型
アイソスピン
ベータ崩壊

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