ダグラス ドルフィン

ダグラス・ドルフィンについて

ダグラス・ドルフィン（Douglas Dolphin）は、1930年代にアメリカのダグラス・エアクラフト社によって開発された水陸両用機です。この機体は、58機が製造され、個人向けの高級エア・ヨットから民間航空路、さらには軍用輸送機や海難救助機としても使用されました。

開発の背景

ドルフィンの原型となるのは、1930年に製造されたシンバッドという飛行艇です。シンバッドは純粋な飛行艇として設計されており、陸上運用用の車輪を持ちませんでした。当初、この機体は個人向けの高級エア・ヨットとしての需要を見込んでいましたが、1930年代の大恐慌の影響で需要が急減し、最終的には沿岸警備隊に売却されてしまいました。

その後、ダグラス社はシンバッドを水陸両用に改良し、ドルフィンと改名しました。この改良では、全長が1フィート以上長くなるなど、尾翼やエンジンナセル、主翼のデザインも変更されました。こうして改良されたドルフィンは、より多様な用途に対応できる機体へと進化しました。

利用用途とその成功

ドルフィンが初めて民間航空に使用されたのは、最初の2機がウィルミントン・カタリナ航空に売却された時です。この航空会社はロサンジェルスとサンタカタリナ間の路線を運航し、ダグラス機を使用した最初の民間航空会社となりました。その後もドルフィンはアメリカ海軍や沿岸警備隊からの注文を受け、主に輸送、捜索、救難機として広く活用されました。アメリカ陸軍航空隊も、数機のドルフィンを購入し、そしてそれらはC-21、C-26、C-29といった制式名で運用されました。

ビジネスエリートからの支持

さらに、ドルフィンは高級機としても位置づけられ、多くの贅沢を求めるユーザーに支持されました。特に、ボーイング社を設立したウィリアム・ボーイングや、チューインガム会社の創業者の息子であるフィリップ・リグビーといった著名な人物たちが購入したことで知られています。また、ウィリアム・キッサム・ヴァンダービルト2世は、内装を特注したドルフィンを2機所有し、彼が持つヨット「アルバ」を母艦にして活動させました。

特殊な役割

興味深いことに、アメリカ海軍はフランクリン・ルーズベルト大統領の専用機としてドルフィンを1機購入しました。ただし、最終的にルーズベルト氏がこの機体に搭乗することはなかったものの、ドルフィンは最初の大統領専用機という歴史的な役割を担いました。

結論

ダグラス・ドルフィンは、その多様な用途から時代を超えた人気を誇る水陸両用機として、1930年代の航空界で重要な位置を占めていました。民間航空の発展や軍事利用の進展に貢献し、その高級感と多用途性から多くの著名人にも愛されました。ドルフィンはまさに航空機の歴史に名を刻む存在と言えるでしょう。

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