ダグラス・グラマン事件

ダグラス・グラマン事件

ダグラス・グラマン事件は、1970年代末に発覚した日本とアメリカ合衆国における軍用機の売買に関連した汚職事件である。この事件は、日本政府の高官へ不正資金が渡されたことにより発覚し、その後の捜査は大きな騒動を引き起こした。

事件の発端

1979年1月4日、アメリカの証券取引委員会（SEC）がグラマン社による不正行為を告発した。具体的には、グラマン社が自社の早期警戒機（E-2C）の販売活動の一環として、代理店の日商岩井を通じて日本の政府関係者に不正な資金を提供していたというものである。この告発を受け、東京地方検察庁の特別捜査部が捜査を開始。捜査にはロッキード[[事件]]で有名な吉永祐介氏が特捜部長として関与し、同じく重要な証言を得た村田恒氏が主任検事として活動した。

彼らは、過去のロッキード[[事件]]での経験を活かし、より徹底的に軍用機の汚職追及に乗り出した。特捜部の士気は高く、軍用機に関する疑惑を浮き彫りにしていくことに期待が寄せられた。

不正資金の流れ

日商岩井の海部八郎副社長はその航空部を率いており、業界で「海部軍団」と称されるほどの実力者であった。彼は、金銭を惜しまずに売り込みを行っていると幅広く噂されていた。村田主任検事は、海部副社長の取り調べを行った際、多くの調書がE-2CではなくF-4E戦闘機に関するものであったことに気づく。特に1965年には、当時の前防衛庁長官・松野頼三氏に5億円を渡したことが明らかになった。

海部副社長が記した「海部メモ」では、岸信介元総理との会談内容や、マクドネル・ダグラス社の社長に2万ドルを渡した記録が残されており、これが国会でも問題視された。しかし、海部副社長は現金の授受はなかったとし、虚偽の手紙を書いたと弁明した。結局、国会での証人喚問での偽証が認定され、彼は有罪となった。

島田常務の事件

さらに、海部副社長の部下であった島田三敬氏の取り調べが進む中、彼は6人の政治家に対して裏献金を行ったことが発覚した。取り調べの最中、島田氏はその後の詳細を述べる予定だったが、深夜にビルから飛び降りて死亡するという不審な出来事が発生。部屋の荒らされ方や彼の受傷状況から、自殺とされたが、謀殺の疑いも広がり、様々な憶測を呼んだ。

島田常務の死により、疑惑の核心は解明されず、政治家への追及は時効となった。松野前防衛庁長官は国会で受け取りを認めたものの、やはり時効が過ぎていたため法的措置は取られなかった。

軍用機導入の進展

事件が発覚する中で、E-2C早期警戒機の導入は昭和54年度に決まったが、関連予算の執行は一時保留された。しかし、1979年7月には執行が解除され、事業が本格的にスタートした。9月には先行契約が成立し、最初の機体がアメリカから納入された。一方で、F-4Eについては次期主力戦闘機として位置づけられ、先に定められた計画に従い進められた。

このようにダグラス・グラマン事件は、軍用機に絡む不正資金の流れを明るみに出し、関係者の証言や不審な死亡事件を含め、汚職の深刻さを浮き彫りにした。

結論

最終的に、この事件は日本の政治とビジネス界に多くの波紋を呼び、汚職の根絶に向けた動きが求められるきっかけともなった。その後の日本における政治改革や献金制度の見直しに影響を与える重要な出来事であったと言える。

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