ダックとディーゼル機関車

ダックとディーゼル機関車（汽車のえほん13）

『ダックとディーゼル機関車』は、児童向けの絵本シリーズ「汽車のえほん」の第13巻です。本書は、1958年にイギリスで初版が発行され、著者はウィルバート・オードリー牧師。全4話から成り、挿絵はジョン・ケニーによって描かれました。1974年には日本語訳が出版され、2004年には一度絶版となりましたが、2005年には新装改訂版が登場し、2010年にはミニ新装版も発売されました。

成立の背景

本シリーズは1945年からほぼ毎年発行されており、今回の第13巻もその流れの中での作品です。当時イギリス国鉄がディーゼル化を進めていた状況を反映した内容になっています。特に、ディーゼル機関車の導入が進む中、蒸気機関車との対比が描かれることが多く、物語はその変革の時代を背景に展開されます。

収録作品

本書には以下の4つの短編が収録されています。

1. こぶなし機関車（ドームのない機関車）
2. ディーゼル機関車のディーゼル（ポップ・ゴーズ・ザ・ディーゼル）
3. ディーゼルのわるだくみ（ダーティー・ワーク）
4. ダック、とこやさんへいく（ア・クローズ・シェーブ）

主なキャラクター

本巻の主要キャラクターを以下に紹介します。

• - ダック: 本書の主人公で、特に目を引く特徴はその車体番号「5741」です。作品中では5700形の姿で描かれています。
• - ヘンリー: ディーゼルから、不名誉なあだ名を付けられる悲劇の機関車です。
• - ゴードン: 風に吹き飛ばされたドームが印象的で、実際に起こった事故のエピソードからインスパイアされたキャラクターです。
• - ジェームス: ディーゼルからも悪口を言われ、バラエティに富んだ性格を色濃く表現しています。
• - エドワード: 本巻では少しおかしな描かれ方をしています。
• - トーマス、 トビー などの人気キャラクターも登場します。

ディーゼル機関車について

本巻で初めて登場するディーゼル機関車は、イギリス国鉄の08形をモデルにしています。当時の技術力が限られていたため、その他のディーゼル機関車には不満が多かったようです。しかし、08形は比較的安定した性能を持ち、貨物扱いで重要な役割を果たしていました。このディーゼル機関車の登場により、どのように蒸気機関車たちに挑戦するかが描かれることになります。

イギリスにおける鉄道の変革

本巻のストーリーには、鉄道の歴史的な背景が色濃く表れており、特にロンドン・アンド・サウス・ウェスタン鉄道とグレート・ウェスタン鉄道が競い合っていた頃のエピソードが引用されています。この競争は、20世紀初頭の鉄道の発展を象徴するものです。

本書を通じて、子どもたちは機関車たちの個性や友情、そして変化の時代を学び、楽しむことができるでしょう。物語の中には、ユーモアや教訓が数多く散りばめられており、感情に訴える深いメッセージも感じることができます。シリーズを通じてのテーマがいかに展開されるか、ぜひ、一読して感じてください。

もう一度検索