ダッチ・レナード (左投手)

ヒューバート・ベンジャミン・レナードの生涯

ヒューバート・ベンジャミン・レナード（1892年4月16日 - 1952年7月11日）は、アメリカのオハイオ州バーミングハム出身のプロ野球選手で、歴史的な防御率記録を持つ左投手です。彼はメジャーリーグベースボール（MLB）においてシーズン防御率0.96という記録を残した唯一の選手であり、この成績は20世紀以降の最優秀防御率として不動のものとされています。

初期の経歴

レナードは野球好きな少年として成長し、1911年にフィラデルフィア・アスレチックスと契約を結びました。しかし、アスレチックスの若手投手陣に圧倒され、すぐに解雇されました。その後、彼はボストン・レッドソックスに移籍し、1913年にメジャーデビューを果たしました。初年度の成績は14勝17敗、防御率2.39であり、その後の成長が期待されました。

レッドソックスでの活躍

レナードは特に1914年に素晴らしいパフォーマンスを見せました。彼は5月に初勝利を挙げた後、なんと7試合連続で完封を達成し、最終的には19勝5敗、防御率0.96という成績でシーズンを終えました。残念ながら、この素晴らしい成績は当時の野球界であまり注目されませんでした。

その後、レナードは1915年に5040ドルの年俸を得るも手首の故障に悩まされ、出場停止処分を受けました。しかし、復帰後彼は再び活躍を見せ、1916年と1918年にはそれぞれノーヒットノーランを達成します。これにより、レッドソックスはワールドシリーズで連続チャンピオンとなります。

ヤンキースとタイガースでの苦難

1919年オフには財政的な理由から、レッドソックスは多くの選手を放出する「投げ売り」を行い、その一環としてレナードもニューヨーク・ヤンキースに移籍しました。しかし、契約条件でのトラブルが続き、レナードはデトロイト・タイガースにトレードされます。タイガース時代、ライブボール時代の到来で彼の得意なスピットボールが禁止され、成績が急降下します。

1924年にメジャーに復帰するも、タイ・カッブとの人間関係が悪化し、苦難の日々が続きました。最終的にレナードは、肩の怪我により33歳で現役を引退することとなります。

引退後の生活

引退後、レナードは野球界の暗い面に目を向けるようになります。彼は1919年の試合で八百長があったことを告白し、その証拠をMLBに提出しましたが、十分な証拠がないとして調査は行われませんでした。その後、彼はカリフォルニアに移り、ブドウ農場を経営し、成功を収めました。最終的に富を築いたレナードは、野球界での印象とは打って変わった人生を歩みました。

ヒューバート・ベンジャミン・レナードは、素晴らしい成績を残す一方で数々の波乱に満ちたキャリアを送った選手でした。彼の投球スタイルと成績は、今でも野球ファンに語り継がれています。

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