ダニエル・スタリッジ

はじめに

ダニエル・アンドレ・スタリッジ（Daniel Andre Sturridge）は、1989年 9月1日にイングランドのバーミンガムで誕生した元プロサッカー選手です。主にフォワードのポジションを務め、そのキャリアを通じてイングランド代表としてもプレーしました。

クラブキャリア

スタリッジのサッカー人生は、地元クラブであるアストン・ヴィラFCのアカデミーで始まりました。その後、コヴェントリー・シティFCを経て、2003年にマンチェスター・シティFCの下部組織へと移ります。マンチェスター・シティでは着実に成長し、2006-07シーズンにはトップチームへ昇格。プロデビューを果たし、ファーストチームで合計32試合に出場し6ゴールを記録しました。しかし、クラブの戦力強化に伴う出場機会の減少を理由に、契約満了となった2009年6月にチェルシーFCへ移籍します。

チェルシー加入後、当初はレギュラー定着に至りませんでしたが、2011年1月にボルトン・ワンダラーズFCへレンタル移籍したことが大きな転機となります。ボルトンでは、移籍後4試合連続ゴールを含む12試合で8ゴールを挙げるなど、その得点能力を開花させました。レンタル期間を終えてチェルシーに復帰すると、出場停止明けから右ウイングとして起用され、チームの主力選手の一人として活躍しました。

キャリアの最盛期を迎えることになるのは、2013年1月2日に加入したリヴァプールFCでの日々でした。約1200万ポンドとされる移籍金でアンフィールドに迎えられると、かねてから自身が希望していたセンターフォワードで起用される機会が増加。2012-13シーズンの後半戦だけで公式戦16試合11ゴールという驚異的なペースで得点を量産し、チームの攻撃を牽引しました。特に2013年5月のフラムFC戦では、リヴァプールでの初ハットトリックを達成しています。

2013-14シーズンは、スタリッジにとってキャリア最高のシーズンとなりました。開幕から4試合連続ゴールを決めるなど勢いに乗り、シーズンを通して安定して得点を積み重ねました。リーグ戦での21ゴールは得点ランキングで2位となり、リヴァプールをUEFAチャンピオンズリーグ出場圏内へと導く原動力となります。このシーズンの活躍が認められ、PFA年間ベストイレブンにも選出されました。また、ルイス・スアレスと形成した2トップは「SAS」と呼ばれ、その破壊力で多くの相手チームを苦しめました。プレミアリーグで8試合連続ゴールというクラブ新記録も樹立しています。

しかし、2014-15シーズン以降、スタリッジは度重なる怪我に悩まされるようになります。前シーズンにスアレスが退団し、エースとしての役割を期待されていましたが、怪我による長期離脱が相次ぎ、リーグ戦での先発出場はわずか7試合に留まるなど、満足なパフォーマンスを発揮できませんでした。この影響は2015-16シーズンも続き、怪我による欠場が続きましたが、出場機会を得た試合では要所で得点を決め、UEFAヨーロッパリーグ決勝進出に貢献しました。2016-17シーズンはサディオ・マネの加入やロベルト・フィルミーノの好調により、スタリッジは怪我の影響がない時期でもベンチスタートやベンチ外となることが増え、出場機会が減少しました。

2018年1月にはシーズン終了までのレンタルでウェスト・ブロムウィッチ・アルビオンへ移籍しましたが、ここでも怪我の影響で期待された活躍はできませんでした。リヴァプールに復帰して迎えた2018-19シーズンは、主にスーパーサブとして起用され、途中出場から試合の流れを変える重要なゴールを幾度か決めました。このシーズン、リヴァプールはUEFAチャンピオンズリーグで優勝を果たし、スタリッジもその栄光の一員となりました（決勝での出場はありませんでした）。このシーズン限りで、スタリッジはリヴァプールを退団することを発表しました。

リヴァプール退団後の2019年8月には、トルコのトラブゾンスポル・クラブへ移籍しましたが、2020年3月に賭博規約違反により出場停止処分を受け、クラブとの契約も解除されることとなりました。その後、しばらく無所属の状態が続きましたが、2021年10月にオーストラリアのパース・グローリーFCに加入。しかし、ここでも怪我に悩まされ、契約満了後には事実上現役生活を終えました。

イングランド代表キャリア

スタリッジは各年代のイングランド代表を経て、2011年にA代表に初招集されました。主要国際大会では、2014 FIFAワールドカップに出場し、グループリーグ初戦のイタリア戦で同点ゴールを挙げる活躍を見せました。UEFA EURO 2016では、グループリーグのウェールズ代表戦で試合終了間際に決勝ゴールを奪い、チームを勝利に導くなど、代表チームでも印象的なパフォーマンスを披露しました。国際Aマッチには2011年から2017年までに出場し、通算26試合で8得点を記録しています。

人物

スタリッジはサッカーにゆかりの深い家系に生まれました。叔父のサイモン・スタリッジとディーン・スタリッジも元プロサッカー選手です。また、彼の祖父母はジャマイカ出身であり、親戚にはジャマイカの元卓球王者がいるなど、幅広いスポーツの才能を持つ家族背景を持っています。

獲得タイトル・個人賞

クラブレベルでは、チェルシー時代にUEFAチャンピオンズリーグ（2011-12）、プレミアリーグ（2009-10）、FAカップ（2009-10, 2011-12）、FAコミュニティ・シールド（2009）を獲得しています。リヴァプールではUEFAチャンピオンズリーグ（2018-19）の優勝メンバーとなりました。個人としては、2013-14シーズンのPFA年間ベストイレブンに選出され、プレミアリーグ月間最優秀選手には2度（2013年8月、2014年2月）輝いています。

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