ダニエル・ペッペルマン

マテウス・ダニエル・ペッペルマン（1662年5月3日 - 1736年1月17日）は、ザクセン選帝侯フリードリヒ・アウグスト1世、通称アウグスト強王に仕えた、ドイツを代表する建築家、都市計画家です。

生涯

ペッペルマンは、ヘルフォルトの商家に生まれました。1680年、ザクセンの建築局に無給の補助員として身を投じ、実務経験を積みます。1686年には建築技師として正式に雇用され、ザクセン公国の建築物の設計や工事監督など、多岐にわたる業務をこなしました。その才能は次第に認められ、1705年には建築マイスターに昇進。この頃から、彼の代表作となるツヴィンガー宮殿の計画に中心人物として携わることになります。

ツヴィンガー宮殿の設計にあたり、ペッペルマンはウィーン、ローマ、パリなど、当時のヨーロッパにおける代表的なバロック建築の宮殿を視察しました。これらの視察を通して得た知識やインスピレーションは、ツヴィンガー宮殿の設計に大いに活かされたと言われています。1718年には上級建築マイスターに任命され、1734年に職を辞するまで、ザクセン公国の建築部門の責任者として、数多くの建築プロジェクトを指揮しました。

主な作品

ペッペルマンは、その生涯で数々の重要な建築物を手がけました。以下に、彼の代表的な作品をいくつか紹介します。

ツヴィンガー宮殿 (1711–1728): ペッペルマンの代表作であり、バロック建築の傑作として知られています。壮麗な装飾と優美な曲線が特徴で、現在では美術館として利用されています。
ピルニッツ宮殿 (1720–1723): 山の宮殿と水の宮殿から構成される夏の離宮です。庭園との調和が美しく、ザクセン選帝侯の夏の避暑地として愛されました。
日本宮殿 (1727-1733): エルベ川沿いのノイシュタット側に建てられた宮殿です。当初はオランダ宮殿と呼ばれていましたが、アウグスト強王の命により内部が東洋趣味に改装され、日本宮殿と呼ばれるようになりました。その後も何度か改造が加えられています。
古アウグストゥス橋 (1727–1731): ドレスデンを代表する橋でしたが、船の大型化に対応するため1907年に取り壊されました。しかし、旧橋のデザインを受け継いだ新アウグストゥス橋が建設され、その面影を今に伝えています。

まとめ

マテウス・ダニエル・ペッペルマンは、ザクセン公国の建築に多大な貢献をした建築家であり、彼の作品は今もなお多くの人々を魅了し続けています。特にツヴィンガー宮殿は、彼の才能と情熱の結晶であり、バロック建築の粋を集めた傑作として、後世に語り継がれることでしょう。

参考文献:
Matthaus Daniel Poppelmann: Der Dresdner Zwinger. Vom Festbau zur Museum

もう一度検索