ダニロ・ペトロヴィチ

ダニーロ・ペトロヴィチ＝ニェゴシュ：激動の時代を生きたモンテネグロの王族

ダニーロ・ペトロヴィチ＝ニェゴシュ（1871年6月29日 - 1939年9月24日）は、モンテネグロ王ニコラ1世の長男として生まれ、王位継承者でした。彼は、激動の時代に翻弄され、短期間ながらも名目上のモンテネグロ王（ダニーロ3世）の座についた人物です。

生涯

父ニコラ1世と母ミレナ・ヴコティッチの間に生まれたダニーロは、1899年にメクレンブルク＝シュトレーリッツ大公アドルフ・フリードリヒ5世の娘ユッタと結婚しました。ユッタは結婚に際して正教に改宗し、ミリツァと名乗りましたが、夫妻の間に子供は恵まれませんでした。ダニーロは、バルカン戦争や第一次世界大戦において、父王と共にモンテネグロ軍を率いて戦いました。

しかし、モンテネグロはセルビアに併合され、ダニーロの人生は大きく変わります。1921年3月1日に父ニコラ1世が亡くなると、ダニーロはモンテネグロ亡命政権の指導者となり、モンテネグロ王を宣言しました。ところが、そのわずか4日後の3月5日、理由は明らかにされていませんが、彼は王位と王家家長の地位を、弟ミルコの息子ミハイロに譲ることを表明したのです。

この譲位劇は、これで終わりませんでした。ダニーロは譲位を表明した翌日には復位を宣言し、さらにその翌日には再び王位を放棄するという、極めて不安定な行動を見せたのです。この一連の騒動は、彼自身の信望を大きく損ない、モンテネグロ人亡命社会に深い失望感を与えました。

晩年

王位を放棄した後、ダニーロは公の場から姿を消し、1934年には、MGM社の映画「メリィ・ウィドウ」における自身の描写が事実と異なると訴え、パリの法廷で勝訴し、賠償金を得ています。そして1939年、アンシュルス直後のウィーンで亡くなりました。

ダニーロ・ペトロヴィチ＝ニェゴシュは、激動の時代に翻弄され、その人生は波乱に満ちたものでした。王位継承者としての宿命、戦争、亡命、そして王位を巡る混乱。彼の生涯は、モンテネグロの歴史における重要な一ページとして、今も語り継がれています。

まとめ

ダニーロは、モンテネグロ王国の王位継承者として生まれ、短期間ながらも名目上の王位についた人物です。しかし、王位を巡る混乱やその後の行動は、彼自身の信望を損ない、亡命社会に失望感を与えました。彼の生涯は、激動の時代における王族の苦悩と、モンテネグロの歴史における複雑な背景を映し出しています。

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