モンテネグロ王国

モンテネグロ王国

モンテネグロ王国（セルビア語: Краљевина Црна Гора / Kraljevina Crna Gora）は、1910年から1916年まで存在したバルカン半島の王国です。形式的には1918年まで存続しました。

歴史

1852年、モンテネグロ主教公であったダニーロ1世が世俗公を自称し、モンテネグロ公国を建国しました。ダニーロ1世の暗殺後、後を継いだニコラ1世が1905年に憲法を改正し、元首の称号を公から王へと昇格させました。1910年、ニコラ1世の即位により、モンテネグロ王国が正式に成立しました。首都はツェティニェに置かれ、立憲君主制を採用していましたが、実質的には絶対君主制国家でした。

バルカン戦争で戦勝国となったモンテネグロ王国は、領土を拡張することに成功しました。第一次世界大戦では、セルビア王国を支援するため連合国側で参戦しましたが、セルビアが敗北したため、オーストリア＝ハンガリー帝国軍の侵攻を許し、全土を占領されました。1916年1月15日、王国政府は降伏を受諾しましたが、ニコラ1世はこれを受け入れず、イタリアを経由してボルドーに亡命し、抵抗を続けました。

この頃、汎スラヴ主義に基づくセルビア王国主導のスラヴ人合同、すなわちユーゴスラビア建国の動きが活発化しており、1917年にはコルフ宣言が採択され、モンテネグロ、セルビア、クロアチア、スロベニア、マケドニアの合同が宣言されました。1918年10月、ポドゴリツァで開催された議会は、ニコラ1世の廃位とセルビアへの統合を宣言し、同年12月1日にセルブ・クロアート・スロヴェーン王国が成立しました。この措置は、1922年に連合国全てによって承認されました。

国王ニコラ1世は、この動きを不当であると主張し続け、彼の宮廷は、孫にあたるミハイロ・ペトロヴィチがユーゴスラビア王国を承認する1929年まで亡命政権として存続しました。第二次世界大戦中には、モンテネグロを占領したイタリア王国によって傀儡政権としてのモンテネグロ王国の再建が検討されましたが、ミハイロは国王への就任を拒否し、後に強制収容所に送られました。

2011年、モンテネグロ政府は伝統を維持するため、ペトロヴィチ＝ニェゴシュ財団を設立し、代表である王家の当主に大統領と同じ給与を支払うなどの王家礼遇法を採択しています。

歴代国王

ニコラ1世（在位：1910年-1918年、亡命政権においては1921年に崩御するまで王位を主張）

亡命政権期の『国王』

ニコラ1世（名目上の在位：1918年-1921年）
ダニーロ（王太子、ニコラ1世の死後王位継承権を返上：1921年3月1日-3月7日）
ミハイロ1世（名目上の在位：1921年-1929年、1929年に王位請求権を放棄しユーゴスラビアを承認）

歴代首相

ラザル・トマノヴィッチ（1910年-1912年）
ミタル・マルティノヴィッチ（1912年-1913年）
ヤンコ・ヴコティッチ（1913年-1915年）
ミロ・マタノヴィッチ（1915年-1916年）

亡命政権の首相

ラザル・ミユシュコヴィッチ（1916年）
アンドリヤ・ラドヴィッチ（1916年-1917年）
ミロ・マタノヴィッチ（1917年）
エヴゲニイェ・ポポヴィッチ（1917年-1919年）
ヨヴァン・プラメナツ（1919年-1921年）
アント・グヴォズデノヴィッチ（1921年-1922年）
ミルティン・ヴチニッチ（1922年）
アント・グヴォズデノヴィッチ（1922年）

脚注

『グレート・ギャツビー』の主人公ギャツビーは、第一次世界大戦の勲功によりニコラ1世から名誉勲章を受章していました。

関連項目

モンテネグロ
モンテネグロの歴史
ユーゴスラビアの建国
* ペトロヴィチ＝ニェゴシュ家

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