ダブリン国際ピアノコンクール

ダブリン国際ピアノコンクール

ダブリン国際ピアノコンクール（Dublin International Piano Competition）は、アイルランドの首都ダブリンを舞台に、3年ごとに開催される国際的なピアノコンクールです。以前は主要スポンサーであったAXA Insuranceの名前を冠し、「AXAダブリン国際ピアノコンクール」として知られていましたが、現在は元の名称に戻されています。

このコンクールは、1989年に国際音楽コンクール世界連盟（WFIMC）に加盟し、国際的な認知度を獲得しました。特に、2004年にアルゲリッチ芸術振興財団（AAF）に加盟したことを機に、その知名度はさらに向上しました。この動きに伴い、世界中から多くの才能が集まるようになり、日本からの参加者も増加傾向にあります。

コンクールの大きな特徴の一つとして、著名なピアニストであるジョン・オコナー氏が長年審査委員長を務めている点が挙げられます。彼のリーダーシップのもと、審査においては単に技巧だけでなく、将来のスター候補と目されるような、個性や音楽的表現力に優れた才能に高い評価を与えてきたことで、しばしば話題となっています。

しかしながら、近年の国際情勢や社会情勢の変化は、このコンクールにも影響を与えています。例えば、2022年度の開催においては、参加者数が26名にとどまるなど、減少傾向が見られました。また、2022年に発生したロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けて、ジョン・オコナー委員長は、次回の2025年開催においてロシア人参加者の受け入れを見送る方針を公に表明しています。

一方で、コンクールは財政的に安定しており、次回の開催は予定通り2025年に実施される見込みです。また、小規模なコンクールとしては珍しく、毎回4作品もの新作委嘱曲が演奏課題に含まれることも、このコンクールの重要な特色となっています。

近年、このコンクールで優れた成績を収めたピアニストには、以下のような顔ぶれがいます。

2000年：アレクセイ・ナビウリン (Alexei Nabiulin)
2003年：アンティ・シーララ (Antti Siirala)
2006年：ロマン・デシャルム (Romain Descharmes)
2009年：オレクシー・ゴルラチ (Oleksiy Gorlach)
2012年：ニコライ・ホジャイノフ
2015年：ナタリア・ミルスタイン (Nathalia Milstein)
2018年：チョン・セユン (Sae-Yoon Chon)
2022年：黒木雪音

ダブリン国際ピアノコンクールは、才能ある若手ピアニストにとって重要な登竜門の一つとして、今後も世界のクラシック音楽界に貢献していくことが期待されます。

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