ダブルスタックカー

ダブルスタックカー：鉄道輸送の効率化を支える貨車

ダブルスタックカーは、インターモーダル輸送において、物流コンテナを効率的に輸送するための専用の鉄道貨車です。この貨車の最大の特徴は、1両の貨車に2つのコンテナを、1つをもう1つの上に重ねて搭載できる点にあります。この構造は、限られた列車長でより多くの貨物を輸送することを可能にし、空車重量を減らす効果ももたらします。また、その形状から「ウェルカー」とも呼ばれています。

構造と特徴

ダブルスタックカーは、台車間を低くすることで、通常のコンテナ車よりもレールに近い位置にコンテナを搭載できるように設計されています。これにより、車両限界の高さが十分な路線では、2段重ねのコンテナ輸送が可能になります。上段のコンテナは、車両に直接固定されるか、コネクタを介して下のコンテナに固定されます。

これらの貨車を連結して走る列車は「ダブルスタックトレイン」と呼ばれ、輸送効率の最大化に貢献しています。

歴史

ダブルスタックカーのアイデアは、1977年に大手コンテナ船海運会社シーランドの創始者マルコム・マクリーンとサザン・パシフィック鉄道によって考案されました。同年にサザン・パシフィック鉄道は、鉄道車両製造会社アメリカン・カー・アンド・ファウンドリー（AC&F）と協力し、最初のダブルスタックカーを設計しました。

当初、ダブルスタックカーの普及は緩やかでしたが、1984年に大手海運会社アメリカン・プレジデント・ラインズがサザン・パシフィック鉄道と連携し、ロサンゼルス港からニュージャージー州サウスカーニーまで、すべてダブルスタックカーで編成された貨物列車を運行させたことで、急速に普及しました。東アジアからの輸入増加に伴い、パナマックス船よりも大きなコンテナ船が主流となり、西海岸のハブ港湾からアメリカ内陸部や東海岸へのコンテナ輸送において、ダブルスタックカーの需要はますます高まっています。

ユニット編成

ダブルスタックカーは、コンテナ搭載位置が1つのものが一般的ですが、3つまたは5つを連結したユニット編成も多く見られます。これらのユニット編成は、連結棒で繋がれており、全体で1つの車番を持つことが多いです。

アメリカでは、ユニット編成の各車両はアルファベットで識別され、端の車両がAとBで示されます。B端は通常、ブレーキ装置が位置する側です。複数の連節車体で構成されている場合は、中間の車体はC、D、Eと呼称されます。

ダブルスタックカーの所有者は鉄道会社だけでなく、海運会社やリース会社など多岐にわたります。実際の運用では、異なる会社が所有する貨車が混ざって編成されることも日常的に見られます。また、貨車のサイズや形態、積載されているコンテナが異なることも珍しくありません。

搭載サイズ

ダブルスタックカーのサイズは、搭載するコンテナの種類に応じて様々です。下段に40フィート、48フィート、53フィートのコンテナを積載できるものが最も一般的です。48フィート以上のコンテナを積載する場合、45フィートコンテナを下段に搭載することも多くあります。搭載位置の大きさは、車体横に記載されており、荷役作業員が適切な装置を使用できるように配慮されています。

コンテナの長さが搭載位置よりも長い場合、搭載位置に合わせたコンテナを下段に置き、その上に大きなコンテナを積載することが一般的です。多くの貨車では、2つの20フィートISOコンテナを下段に搭載できるようになっています。

セミトレーラをコンテナと同様に搭載できる締結装置を備えた多目的ダブルスタックカーも存在します。初期のダブルスタックカーは40フィートコンテナに対応していましたが、その後、より大型の「ドメスティックコンテナ」に対応するため、48フィート、さらには53フィート対応のものが開発されました。

しかし、大型のダブルスタックカーは海上コンテナ主体の列車では編成長や重量の点で無駄が生じやすいという問題もあります。そのため、近年では下段が40フィートクラスの海上コンテナ用と、53フィートの陸上コンテナ用の2つに二極化が進んでいます。また、中途半端な存在となった48フィート対応の貨車は、40フィートサイズに短縮したり、逆に53フィートサイズに延長したりする改造が進められています。

海上コンテナ仕様車は、上段に40フィートコンテナを搭載し、48フィートや53フィートコンテナは1両ごとに交互に搭載できるようになっています。

ダブルスタックカーは、その効率性から北アメリカを中心に広く普及しており、現代の物流を支える重要な要素となっています。

参考文献
オンライン:
DOUBLE STACK CARS - ダブルスタックカーのリスト、様々なデータ
RR Picture Archives - Rolling Stock Category: Double Stack Car
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関連事項
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