ダブルブランド

ダブルブランドとは？

ダブルブランドとは、1つの商品に複数のブランド名が付けられている形態を指します。これは、企業間の提携、合併、共同開発など、様々なビジネス上の関係性から生まれる現象です。単にブランド名を並べるだけでなく、それぞれのブランドが持つ意味や役割、そして消費者への訴求戦略を深く理解することで、その複雑な仕組みが見えてきます。

ダブルブランドの様々なパターン

ダブルブランドには、いくつかのパターンが存在します。それぞれに異なる背景や目的があり、企業戦略を反映した結果と言えるでしょう。

1. 輸入商品へのブランド併記: 輸出元の企業が保有するブランドを、輸入商品にも併記するパターンです。これは、両社間の業務提携を前提としており、輸出元企業のブランドには、国際的な登録商標であるⓇマークが付されることが多いです。輸出元企業のブランド力と信頼性を活用することで、輸入商品への認知度向上と販売促進を図る戦略と言えます。

2. 提携・共同開発によるブランド併記: 企業間の提携や共同開発によって生まれた商品には、両社のブランドが併記される場合があります。これは、それぞれの企業の強みや技術を組み合わせ、相乗効果を狙った戦略です。消費者には、両ブランドの信頼性と品質の高さを訴求することができます。

3. 同一企業・グループ内企業によるブランド併記: 同一の企業やグループ企業（子会社、姉妹会社）が展開するブランドを併記する場合もあります。これは、異なるターゲット層へのアプローチや、ブランドイメージの多様化を目的としています。それぞれのブランドが持つ個性と訴求力を活かしながら、市場におけるプレゼンスを高める戦略と言えるでしょう。

4. 下請け企業のブランド併記: 商品の開発を請け負った下請け企業のブランドが併記されるケースもあります。これは、下請け企業の高い技術力や信頼性をアピールし、消費者の安心感を得るための戦略と言えます。OEM生産などにおいて、しばしば見られるパターンです。

5. 倒産企業のブランド継承: 倒産した企業の営業権を買収した場合、倒産した企業のブランドと買収企業のブランドが併記される場合があります。これは、倒産企業のブランド価値を継承し、既存顧客の信頼関係を維持するための戦略です。ただし、一定期間後には買収企業のブランドに一本化されることが多いです。

具体的な事例

富士フイルムは、米国エナジャイザー社との提携により、エナジャイザー社製の乾電池を日本国内で販売しています。そのため、国内で販売される乾電池には、富士フイルムとエナジャイザー、または富士フイルムとエバレディ（エナジャイザー社のサブブランド）のダブルブランドが使用されています。これは、富士フイルムの販売網とエナジャイザー社のブランド力を組み合わせた戦略的な取り組みと言えます。

また、倒産した新潟鉄工の例では、事業ごと買収先が異なり、吸収された事業は一定期間、NIIGATAブランドと買収先企業のブランドが併記された後、買収先企業のブランドに一本化されました。一方で、独立した事業会社となったケースでは、NIIGATAブランドが存続し、買収先企業の子会社として運営されています。

まとめ

ダブルブランドは、企業戦略によって様々なパターンが存在し、それぞれの背景や目的が複雑に絡み合っています。企業が持つブランド力、技術力、市場戦略などを巧みに活用した、高度なマーケティング手法と言えるでしょう。消費者は、商品に付けられた複数のブランド名から、その商品が持つ背景や特徴を理解し、購入を決定しています。

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