ダブルボーダー

『ダブルボーダー』(原題:Extreme Prejudice)は、1987年に公開されたアメリカ合衆国のネオ・ウェスタン・アクション映画です。監督はウォルター・ヒル、主演はニック・ノルティとパワーズ・ブースという豪華キャストが名を連ね、マイケル・アイアンサイド、マリア・コンチータ・アロンゾ、リップ・トーンといった実力派俳優たちが脇を固めています。

本作は、サム・ペキンパー監督の西部劇『ワイルド・バンチ』へのオマージュとして制作されました。両作品とも、メキシコ国境の町で壮絶な銃撃戦がクライマックスを迎えるという共通点があります。タイトルの『Extreme Prejudice（極度の偏見）』は、ジョン・ミリアス脚本の『地獄の黙示録』で使われた有名なセリフに由来しています。ミリアス自身も本作の原案に携わっており、彼の独特の世界観が色濃く反映されています。

ストーリーは、テキサス州とメキシコの国境付近の町を舞台に展開します。ニック・ノルティ演じるテキサス・レンジャーのジャック・ベンティーンは、麻薬組織との戦いに身を投じています。その組織のボスは、ジャックの親友であるキャッシュ・ベイリー（パワーズ・ブース）。かつては共に戦った仲間であり、今は敵対する存在となっています。

ある日、キャッシュはジャックに接触を試みますが、和解は成立しません。キャッシュは報復として、ジャックの友人である保安官を殺害し、恋人を拉致します。

一方、アメリカ軍特殊部隊が、キャッシュの組織壊滅作戦を開始します。部隊のリーダーは、マイケル・アイアンサイド演じるポール・ハケット少佐。彼らは、記録上は死亡しているという秘密裏に任務にあたっています。

ジャックは、偶然にも特殊部隊の存在を知り、彼らと協力して恋人の救出とキャッシュへの復讐に乗り出します。特殊部隊の作戦は、当初はキャッシュの資金を奪うことでしたが、予想外の展開から銃撃戦となり、犠牲者も出てしまいます。

ジャックは、特殊部隊の作戦の全貌を理解した上で、彼らと共にキャッシュのアジトへ潜入します。そして、ついにジャックとキャッシュは決着をつけるべく対峙します。しかし、特殊部隊内部にも思惑が渦巻いており、ジャックの運命は、予測不能な展開へと進んでいきます。

クライマックスは、キャッシュのアジトを舞台にした大規模な銃撃戦です。ジャックとキャッシュの決闘、特殊部隊の作戦、そしてそれぞれの思惑が絡み合い、息もつかせぬ展開が続きます。

『ダブルボーダー』は、西部劇の伝統と現代的なアクションを融合させた、見応えのある作品です。キャラクターたちの複雑な人間関係、裏切りと復讐、そして壮絶な銃撃戦は、観る者の心を掴んで離しません。ニック・ノルティの重厚な演技、パワーズ・ブースの存在感、そしてウォルター・ヒル監督の演出が、この作品を傑作たらしめていると言えるでしょう。さらに、ジョン・ミリアスの原案、そしてジェリー・ゴールドスミスによる音楽も、作品の雰囲気を盛り上げています。

この映画は、単なるアクション映画ではなく、友情、裏切り、復讐といった普遍的なテーマを描いた人間ドラマでもあります。メキシコ国境という独特の舞台設定も、作品の雰囲気を高めており、西部劇ファンのみならず、アクション映画ファンにも強くお勧めできる作品です。

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