ダブル・ヴィジョン (フォリナーのアルバム)

フォリナー『ダブル・ヴィジョン』

1978年、ブリティッシュ・アメリカンのロックバンド、フォリナーはセカンド・アルバムとなる『ダブル・ヴィジョン』を発表しました。前作で鮮烈なデビューを飾った彼らにとって、このアルバムはバンドの地位を不動のものとする重要な作品となりました。

本作からは、バンドの代表曲として今日まで広く知られる「ホット・ブラッディッド」が生まれ、全米の主要チャートであるビルボードHot 100で最高3位を記録する大ヒットとなりました。また、アルバムのタイトルを冠した楽曲「ダブル・ヴィジョン」も同様に人気を博し、チャートでは最高2位に達するなど、収録曲の多くがヒットチャートを賑わせました。これらの成功は、フォリナーが単なるデビュー時の勢いだけでなく、確かな実力を持つバンドであることを証明しました。

アルバム全体を通して、彼ら特有のハードロックとAOR（Adult Oriented Rock）が見事に融合したサウンドが展開されています。収録曲の中でも特筆すべきは、「トラモンテイン」です。この楽曲は、フォリナーがスタジオ・アルバムに収録した唯一のインストゥルメンタル曲であり、バンドの多面性を示す一例となっています。

収録曲は以下の通りです。

1. ホット・ブラッディッド - "Hot Blooded" – 4:29
作詞・作曲: ルー・グラム、ミック・ジョーンズ
2. 蒼い朝 - "Blue Morning, Blue Day" – 3:12
作詞・作曲: ジョーンズ、グラム
3. 君は僕のすべて - "You're All I Am" – 3:24
作詞・作曲: ジョーンズ
4. バック・ホエアー・ユー・ビロング - "Back Where You Belong" – 3:15
作詞・作曲: ジョーンズ
5. ラヴ・ハズ・テイクン・イッツ・トウル - "Love Has Taken Its Toll" – 3:31
作詞・作曲: グラム、イアン・マクドナルド
6. ダブル・ヴィジョン - "Double Vision" – 3:44
作詞・作曲: ジョーンズ、グラム
7. トラモンテイン - "Tramontane" – 3:55
作詞・作曲: アル・グリーンウッド、ジョーンズ、マクドナルド
インストゥルメンタル
8. 待ちくたびれて - "I Have Waited So Long" – 4:06
作詞・作曲: ジョーンズ
9. 寂しき子供達 - "Lonely Children" – 3:37
作詞・作曲: ジョーンズ
10. スペルバインダー - "Spellbinder" – 4:49
作詞・作曲: グラム、ジョーンズ

また、2002年に再リリースされたバージョンには、ボーナストラックとして以下のライブ音源が追加されています。

ホット・ブラッディッド (ライブ at Anaheim, 1982) – 6:57
ラヴ・メイカー (ライブ at Chicago, 1977) – 6:48

レコーディングに参加したパーソネルは以下の通りです。

ルー・グラム - リード・ボーカル、パーカッション
ミック・ジョーンズ - ギター、ピアノ、バック・ボーカル、リード・ボーカル (トラック4、8)
イアン・マクドナルド - ギター、キーボード、管楽器、バック・ボーカル
アル・グリーンウッド - キーボード
エド・ガリアルディ - ベース、バック・ボーカル
* デニス・エリオット - ドラム

加えて、アディショナル・ミュージシャンとしてイアン・ロイドがバック・ボーカル、デヴィッド・ペイチがストリング・アレンジで参加しています。

このアルバムは商業的にも大きな成功を収め、アルバムチャートでも高い順位を獲得し、複数の国で認定を受けています。特に、前述の「ホット・ブラッディッド」やタイトル曲「ダブル・ヴィジョン」といったシングルは、バンドの知名度を世界的に高めるのに大きく貢献しました。

現代においては、「ホット・ブラッディッド」や「蒼い朝」といった楽曲が人気のリズムゲームシリーズのダウンロードコンテンツとして採用されるなど、新たな形で多くの音楽ファンに親しまれています。さらに、日本国内では、歌手の西城秀樹が自身のライブアルバム『BIG GAME'80 HIDEKI』の中で、「待ちくたびれて」をカバーしていることも特筆すべき点です。

『ダブル・ヴィジョン』は、フォリナーの輝かしいキャリアの中でも、バンドのサウンドと人気が確立された記念碑的な作品と言えるでしょう。その普遍的なロックサウンドは、時代を超えて聴き継がれています。

(参考情報: Discogsのリリース一覧なども存在します。)

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