ダマスカス包囲戦 (1148年)

ダマスカス包囲戦

ダマスカス包囲戦（1148年7月24日〜28日）は、第2回十字軍の一部として行われた重要な戦闘です。この戦争は1144年にエデッサが陥落した後、ローマ教皇エウゲニウス3世からの呼びかけに応じて、フランス王ルイ7世と神聖ローマ皇帝コンラート3世を中心に編成された十字軍によって引き起こされました。しかし、十字軍は内部の対立によって失敗に終わります。

境界背景

ダマスカスを支配するムスリム政権ブーリー朝と十字軍との関係は、1125年の十字軍による襲撃によって悪化しました。その後の年、戦闘や遠征が相次ぎ、ダマスカスは十字軍にとって重要な攻略目標の一つとなります。1147年には、エデッサの奪還を目指す十字軍がダマスカスを攻撃することを決定しました。

この頃、ブーリー朝は、ザンギー朝の脅威に対抗するため十字軍に協力を求める場面もあり、戦局は複雑さを増していました。十字軍はダマスカスを再訪し、果樹園を利用した攻撃を展開することを計画しますが、果樹園地域が進軍の妨げとなることに気づきます。

アッコ会議

1148年7月24日、アッコで開催された軍議において、ルイ7世とコンラート3世はダマスカス攻撃に同意します。一部の地元諸侯は、ダマスカスがザンギー朝の脅威に対抗する同盟国であることを指摘し、攻撃に反対しますが、最終的には十字軍の圧力に屈する形で攻撃が決定されました。

戦力は約50,000人に達し、西側からの攻撃が計画されました。果樹園からの供給を期待し、十字軍はダマスカスを包囲します。

戦闘の経過

7月24日、十字軍は包囲を開始しましたが、ダマスカス軍の反撃に直面します。果樹園の密集した木々は、十字軍にとって障害となり、両軍は激しい戦闘に突入します。コンラートの指揮の下で十字軍は前進を続け、7月25日にはダマスカス軍に勝利したものの、戦闘で多大な損失を被ります。

次第に、ダマスカス軍は援軍を得て力を取り戻し、再度の攻撃を開始。十字軍はダマスカスの東部と南部を攻撃するも、地元の諸侯間での権力争いが激化し、結果的に十字軍は内部対立により包囲戦を続けられなくなります。最終的には、ダマスカスの支配権を巡る争いが各国の城主間で発生し、十字軍の包囲作戦は頓挫しました。

退却と結果

7月28日、十字軍は最終的に包囲を解き、撤退を決定します。この撤退は、サイーフとヌールッディーンという二人のムスリム指導者がダマスカスの支配権を巡る協議を進めていたことも影響しています。十字軍の軍勢は、不信感を抱いていた地元の諸侯の支持を失うことで、ダマスカスでの戦闘を続けることができなくなりました。

結果的に、ダマスカス包囲戦は十字軍の敗北を象徴する事件となり、信頼関係の崩壊はその後の軍事計画にまで影響を及ぼしました。ダマスカスは、1154年に正式にヌールッディーンの支配下に置かれ、十字軍が聖地での攻勢をかける道を大きく閉ざしました。教皇ベルナルドゥスの試みも失敗に終わり、教会はこの敗北から手を引くことを余儀なくされました。

遺産

ダマスカス包囲戦に参加したフランス人諸侯の一人であるドルー伯ロベール1世は、シリアからロサ・ダマスケナをヨーロッパに持ち帰ったことが知られています。また、この戦争ではダマスカス城壁に十字軍の紋章が刻まれ、戦の名残が残ることとなりました。

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