ダルナビル

ダルナビル（Darunavir, DRV）

ダルナビルは、HIV/AIDSに対する効果的な治療薬として使用される抗レトロウイルス薬です。通常、この薬は他の抗レトロウイルス薬と組み合わせて服用されることが望ましいとされています。ダルナビルの効果を高めるためには、低用量のリトナビルやコビシスタットとの併用が一般的です。また、針刺し事故やその他の感染のリスクが考えられる場面でも、予防的に使用されることがあります。服用は1日1回または2回の経口摂取が基本となっています。

ダルナビルは、いくつかの商業名で提供されており、単剤としては「プレジスタ」と「プレジスタナイーブ」があります。コビシスタットとの合剤である「プレジコビックス」、さらにエムトリシタビンやテノホビル アラフェナミドとの4剤合剤「シムツーザ」も販売されています。

効能・効果

ダルナビルの主な適応症は、HIV感染症や特にHIV-1感染症です。この薬剤は、過去にHIV治療の経験があるかどうかに関わらず、成人および青少年に対して使用が推奨されています。アメリカのHIV研究所のガイドラインでも、ダルナビルは非常に重要な治療選択肢として位置付けられています。最初の承認時には、既治療の患者を対象にした臨床試験が実施され、リトナビルとの併用において有効性が確認されました。

その後、HIV治療歴のない患者に対する研究も行われ、ダルナビルは1日1回の投与で96週間にわたり、他の治療薬と同等の効果を示しました。2008年にはFDAによってHIV未治療患者への使用が承認され、日本では2009年に販売が開始されました。ただし、ダルナビルはHIV/AIDSを完全に治癒するものではないことに留意が必要です。

副作用

一般的に、ダルナビルは忍容性が高い薬として知られていますが、いくつかの副作用が報告されています。最もよくみられる副作用は発疹であり、全体の約7%の患者に発生します。その他にも下痢（約2.3%）、頭痛（約3.8%）、腹痛や便秘（それぞれ約2.3%）、嘔吐（約1.5%）などが挙げられます。また、リトナビルにアレルギーがある患者は、ダルナビルでも同様の問題が発生することがあります。

治療中の患者には、高血糖や糖尿病の悪化、筋肉痛、軽い力の抜け感、出血量の増加などがみられることがあります。治療薬を使用している患者の中には、体脂肪の分布が変化することがあり、その影響は未だに解明されていません。

薬物相互作用

ダルナビルは他の抗レトロウイルス薬や制酸薬、プロトンポンプ阻害薬との相互作用の可能性があります。特に、セイヨウオトギリソウを摂取すると、ダルナビルの代謝が促進され、効果が低下する恐れがあります。

作用機序

ダルナビルは、HIV-1プロテアーゼ阻害薬の一種で、ウイルスの複製を防ぐ機序を持っています。ウイルスのプロテアーゼに強く結合することによって、その活性を抑制し、ウイルスの増殖を阻むことが可能です。この強力な相互作用は、他の同群の薬剤に比べて優れており、耐性の影響を受けにくい特性を持っています。

承認

ダルナビルは、2006年6月に米国で、2007年2月に欧州連合で、2007年11月に日本で承認され、現在は世界保健機関の必須医薬品リストにも名を連ねています。これにより、HIV治療の重要な選択肢として広く利用されています。

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