ダンバートン伯爵

ダンバートン伯爵 (Earl of Dumbarton)

ダンバートン伯爵（英語: Earl of Dumbarton）は、イギリス王室に関連する貴族の称号の一つです。スコットランド中西部のウェスト・ダンバートンシャー州にあるダンバートンという地名にその名を由来しています。この伯爵位は、これまでの歴史において二度創設されています。

第一期創設 (1675年)

最初にダンバートン伯爵位が創設されたのは、今から三百五十年近く前、1675年3月9日のことでした。当時のイングランド王チャールズ2世は、仏蘭戦争（英仏戦争とも）での顕著な軍功を称え、ジョージ・ダグラス卿にスコットランド貴族としての伯爵位を授けました。

ジョージ・ダグラス卿（1635年 - 1692年）は、スコットランドの有力貴族ハミルトン公爵ウィリアム・ダグラス＝ハミルトンの実弟にあたります。チャールズ2世は、この伯爵位の授与と同時に、彼に対して「エトリックのダグラス卿（Lord Douglas of Ettrick）」というスコットランド貴族のロードシップ（卿の爵位）も与えています。

初代伯爵ジョージ・ダグラスの死後、その爵位は一人息子のジョージ（1687年 - 1749年）が第二代ダンバートン伯爵として継承しました。しかし、第二代伯爵には男子の後継者がいなかったため、彼の死去した1749年をもって、ダンバートン伯爵位およびエトリックのダグラス卿位はどちらも断絶しました。

第一期ダンバートン伯爵家:
ジョージ・ダグラス (初代ダンバートン伯爵) （1635年 - 1692年）
ジョージ・ダグラス (第2代ダンバートン伯爵) （1687年 - 1749年）

第二期創設 (2018年)

ダンバートン伯爵位が再び創設されたのは、第一期断絶から実に269年後の2018年5月19日でした。この日、エリザベス2世女王は、孫であるヘンリー王子がメーガン・マークルとの結婚に際して、王室の慣例に従い新たな爵位を授与しました。

ヘンリー王子に与えられたのは、ダンバートン伯爵位の他に、イングランド貴族のサセックス公爵（Duke of Sussex）位、そして北アイルランド貴族のキルキール男爵（Baron Kilkeel）位でした。これにより、ヘンリー王子はこれらの爵位の初代保持者となりました。

現在の状況と称号の扱い

2024年現在、ダンバートン伯爵位は第二期創設の初代伯爵であるヘンリー（初代サセックス公爵・初代ダンバートン伯爵）（1984年 - ）が保持しています。彼はサセックス公爵としての称号を主として使用しており、ダンバートン伯爵は通常、公爵の従属爵位として扱われます。

英国王室の称号継承に関する規定では、1917年のジョージ5世による勅許状に基づき、王子・王女の称号は通常、君主の男系の孫までが対象となります。しかし、伯爵位のような爵位は、その保持者の長男が儀礼称号として使用する慣例があります。ヘンリー王子の長男であるアーチーは、エリザベス女王の曾孫にあたるため、原則として王子や卿の称号は自動的には与えられません。

しかし、伯爵の長男は存命中に父親の下位の爵位を儀礼称号として名乗ることが可能です。したがって、ヘンリー王子が存命である限り、アーチーは将来的にダンバートン伯爵の儀礼称号を使用することが考えられます。ただし、これはあくまで儀礼的なものであり、実際のダンバートン伯爵の爵位そのものは引き続き父ヘンリー王子が保持することになります。

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