ダヴィド・サッソリ

ダヴィド・マリア・サッソリ：ジャーナリストから欧州議会議長へ

ダヴィド・マリア・サッソリは、イタリアを代表するジャーナリストから政治家へと転身し、欧州議会議長として国際的な舞台で活躍した人物です。1956年5月30日、フィレンツェに生まれました。フィレンツェ大学で政治学を修めた後、地元紙や通信社を経て、イタリアを代表する日刊紙『イル・ジョルノ』のローマ支局記者としてキャリアを積みました。

ジャーナリストとしてのサッソリは、国営放送TG3の記者として活躍、『Il rosso e il nero』や『Tempo reale』といったテレビ番組制作にも携わりました。その後、人気番組『Cronaca in diretta』の司会を務め、さらにTG1のアンカーマンに就任する頃には、イタリアで最も著名なジャーナリストの一人となりました。高い人気と信頼を得ていたサッソリは、TG1の副ディレクターも務めました。

2009年、ジャーナリストとしての成功を背景に、政治の世界へ足を踏み入れます。中道左派の民主党に入党し、欧州議会議員選挙に立候補、中央イタリア選挙区でトップ当選を果たしました。欧州議会では民主党議員団副団長を務め、2014年の選挙でも再選を果たしています。2012年にはローマ市長選挙の候補者予備選にも参加、惜しくも落選しましたが、その知名度と人気を示す結果となりました。

欧州議会での活動は目覚ましく、2014年には副議長に選出、様々な委員会や議員連盟に参加し、国際的な課題に取り組んでいました。極度の貧困や人権問題にも積極的に関与し、欧州社会党系の議員として着実に実績を重ねていきました。

2019年の欧州議会議員選挙で3選を果たしたサッソリは、同年7月、欧州議会議長に選出されます。イタリア人として7人目の欧州議会議長という歴史的な役割を担い、就任演説では欧州統合の重要性を強調、平和と民主主義の実現に向けて力強く訴えました。

議長としてのサッソリは、欧州市民の期待に応えようと尽力しました。就任早々には、ブリュッセル同時テロ事件の犠牲者を追悼するなど、具体的な行動で欧州統合への強い意志を示しました。しかし、2022年1月11日、深刻な健康問題により65歳で急逝しました。欧州統合を推進し、平和と民主主義の実現に貢献したサッソリの死は、欧州のみならず世界中に深い悲しみをもたらしました。

私生活では、妻のアレッサンドラ・ヴィットリーニとの間に2人の子供をもうけました。また、地元サッカークラブ、ACFフィオレンティーナの熱心なサポーターとしても知られていました。表現の自由を擁護する団体Articolo 21にも参加するなど、ジャーナリストとしての経験を生かした活動も積極的に行っていました。ダヴィド・マリア・サッソリは、ジャーナリストとして、政治家として、そして欧州議会議長として、その生涯を通じて、強い信念と行動力をもって人々の記憶に刻まれた人物です。

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