ダークウィスパー

ダークウィスパー：近未来を舞台にした海洋冒険SF漫画

『ダークウィスパー』は、山下いくと氏による近未来を舞台にした海洋冒険SF漫画です。第3次世界大戦勃発後、アメリカ合衆国が突如消失した世界で物語は展開されます。舞台はプエルトリコから始まり、海底に沈んだ船から謎のカプセルを盗み出したエノラが、そこから現れた黒髪の少女コヨミと出会うことから物語は始まります。

世界観：アメリカ合衆国の消失と新たな世界秩序

アメリカ合衆国の消失から8年後、世界は大きく変貌を遂げています。シベリア経済圏を中核とする北方アジア連合とNATO軍がアメリカ西海岸と東海岸から侵攻し、世界大戦の傷跡が今も深く残っています。大規模な海面上昇により、海岸線は後退し、北極海やニュージーランドなど、海が物語の重要な舞台となっています。

この世界では、オーストラリアを中心とした「太平洋通商圏」、ヨーロッパを統一した「ヨーロッパ連邦」、そしてアフリカ・中東圏の「エナジーアフリカ」という3つの主要な経済圏が形成されています。アメリカ西海岸は依然として北方アジア連合の支配下にあり、その支配の様相は謎に包まれています。また、日本は海上移動都市国家「ギガンティック・トウキョウ」へと変貌を遂げ、高度な技術力を持つ一方で、自らの作った競争相手と苦闘する姿が描かれています。

主要登場人物：個性豊かなキャラクターたちが織りなす人間ドラマ

コヨミ：CIAの特殊工作員として作られた少女。幼い容姿とは裏腹に、高度な戦闘能力と知能を備えています。アメリカ合衆国の消失という謎に深く関わっており、その正体は物語の中心となる謎の一つです。

エノラ：コヨミと出会い、行動を共にすることになる海難救助会社の経営者。コヨミの理解者であり、友人として彼女を支えます。

ニド：ドイツ出身の大学生。国際海洋資源調査隊の調査船に乗り込み、北極でオーリオールと出会います。若さと好奇心に突き動かされ、コヨミやエノラたちと関わっていくことになります。

ジェフ：ニドの恋人であり、アメリカ軍人。オーリオールの確保を目的として行動しますが、その目的と背景には謎が隠されています。

オーリオール：コヨミと同様に特殊な能力を持つ少女。多くの組織から追われる身であり、アメリカ合衆国の消失に深く関わっている可能性があります。

その他にも、オーストラリア外務省合衆国資産管理局のアルバーニ、ドイツの総合企業の会長ルースマ、ギガンテック・トウキョウのノサカなど、個性豊かなキャラクターたちが物語を彩ります。

物語の展開：謎と陰謀が絡み合うスリリングな展開

物語は、アメリカ合衆国の消失という謎を軸に展開します。コヨミとオーリオールという、特殊な能力を持つ少女たちがキーパーソンとなり、世界を揺るがす陰謀が明らかになっていきます。エノラやニド、ジェフといった、彼らを取り巻く人々の葛藤や成長も描かれ、人間ドラマとしての深みも持ち合わせています。

様々な組織が、コヨミやオーリオールを追いかけ、その目的はそれぞれ異なります。CIA、オーストラリア外務省合衆国資産管理局、ギガンテック・トウキョウの北米プランニング、そしてヨーロッパ連邦の国連戦災処理軍など、国際的な情報機関や組織が暗躍し、緊張感あふれる展開が続きます。

謎めいた過去：アメリカ合衆国の消失

アメリカ合衆国の消失は、物語最大の謎です。核兵器の使用や国家崩壊といった、従来の戦争終結とは異なる、不可解な消失であり、その背景には、未だ明らかになっていない大きな秘密が隠されていることを示唆しています。

まとめ

『ダークウィスパー』は、近未来を舞台にした、謎解き要素と冒険要素を兼ね備えた海洋冒険SF漫画です。魅力的なキャラクターたち、そしてアメリカ合衆国の消失という大きな謎が読者の興味を惹きつけ、最後まで飽きさせない作品となっています。単行本はバンダイとメディアワークスから出版されており、メディアワークス版では加筆修正が加えられています。

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