ダークメサイア

『ダークメサイア』（DARK MESSIAH）は、1998年 6月11日にアトラスから発売されたPlayStation用ホラーアドベンチャーゲームです。開発は電脳映像製作所が担当し、海外では『Hellnight』というタイトルでリリースされました。

ゲームシステム

本作の最大の特徴は、プレイヤーが武器を持たない状態で、異形体から逃げ続けるという点です。各ステージでは、異形体に遭遇することなくクリアを目指します。異形体は通常は歩いていますが、主人公たちの存在に気づくと走り出し、執拗に追いかけてきます。主人公が異形体と接触すると即ゲームオーバーとなりますが、同行者がいる場合は、同行者が身代わりとなり、主人公は逃げることができます。ただし、同行者は死亡します。

異形体の接近は、特徴的な呼吸音で知ることができます。音は徐々に大きくなったり小さくなったりしますが、同行者の奈緒美がいない場合は、音の方向を瞬時に判断する情報がありません。各ステージでは、謎を解きながら地上を目指します。基本的には、ステージ内の扉にカーソルを合わせ、適切なアイテムを使用することで行動範囲を広げていきます。

同行できるキャラクターは複数存在しますが、一度に連れて歩けるのは一人だけです。現在同行しているキャラクターが死亡しない限り、次の同行者とペアを組むことはできません。同行者に残弾があれば、攻撃による異形体の撃退（正確には足止め）が可能です。ただし、攻撃ボタンを押す前に異形体に接触した場合は、残弾があっても同行者は死亡します。最初の同行者である杉浦奈緒美は武器を持っていませんが、異形体の位置を感知する能力を持っており、主人公と異形体の位置関係を把握するのに役立ちます。

同行者とのやり取りには「パートナーボタン」を使用します。通常時はダンジョンの状況や同行者の心境を伝える会話が中心ですが、異形体に襲われた時は、同行者特有のリアクションで状況に対応します。異形体に襲われた時、同行者がいる場合は、同行者が優先的に襲われます。

ゲームが進むにつれて、異形体は進化し、移動速度が上がります。最終的には主人公とほぼ同じ速度になり、主人公が一定時間走ると疲労して動けなくなるのに対し、異形体には疲労がないため、逃げ切るのが非常に困難になります。

ストーリー

東京の地下鉄で発生した事故に巻き込まれた主人公は、謎の生命体が出現したことで女子高生の杉浦奈緒美と共に逃げる羽目になります。二人は「東京メッシュ」と呼ばれる地下迷路に迷い込み、地上に戻る手段を探すため、カルト教団「聖なる輪」の本拠地へと向かいます。しかし、彼らを待っていたのは、さらなる深層への転落と、絶えず追いかけてくる異形体でした。彼らにできることは、ただひたすら逃げることだけです。

舞台・組織・勢力

東京メッシュ：太平洋戦争末期に旧日本軍によって極秘裏に建設された地下要塞。網目状の多層構造を持ち、住民からは「メッシュ」と呼ばれています。地上での生活に耐えられなくなった人々や、犯罪者、カルト教団の信者などが住み着いています。そこは「闇の東京」とも呼ばれ、常軌を逸した集団の中では、異常性を持たない者こそが異端とされます。主人公とパートナーは、メッシュの流儀に侵されていきます。地下鉄のトンネルから入った水路の奥に偽装された入り口があり、3階層から構成されています。

聖なる輪：「人類の統一と融合」を教義とするカルト教団。実は「闇なる皇子」＝「ダークメサイア」を崇拝し、その復活と覚醒を求めて信者や一般人を地下へと追い込んでいます。本拠地は東京メッシュの最深部にあります。

都市：「東京メッシュ」のさらに下層にある、地球外生命体「古き者」たちが乗ってきた「植民用恒星間航行体」。星間航行中に霊的エッセンスの存在を確認すると、目的世界の地表へと降着し、「大融合」を発動させます。大気圏突入時に制御を失い、現在の東京付近に落下。地下大本営建設のための発掘により覚醒し、「大融合」に必要な「失われた皇子の核」を求めて暗躍し始めます。

異形体：地下鉄内で跳ね飛ばされる直前には人間と変わらない姿をしていますが、倒れた後は節足動物のような硬質な体表を持った姿に変貌します。

登場人物

メインキャラクター

主人公：本作の主人公である男性。地下鉄事故で奈緒美と共に巻き込まれます。
杉浦奈緒美（すぎうらなおみ）：17歳の女子高生。物語の進め方によっては異形体に連れ去られます。異形体の位置を知る能力を持つが、攻撃はできません。
神谷京二（かみやきょうじ）：広域指名手配中の連続無差別殺人犯。異形体への攻撃が可能です。
リロイ・イワノフ：「オーガン」所属のコマンドー。異形体への攻撃が可能です。
ルネ・ロレイン：「DES通信」のジャーナリスト。異形体への攻撃が可能です。
さまよう者：「都市」を裏切った機能体。異形体への攻撃が可能です。

サブキャラクター

お宝フェチのモグラ：アイテムの使い方のヒントをくれる男性。
処理屋のレノ：東京メッシュ内のトラブルを解決する男性。
探しているスギヤ：父親の形見のヘッドホンを探している男性。
ナチュラルなミカ：スギヤのヘッドホンを貢ぐことができる女性。
お宝キングのリス：ミカの事が好きな男性。
メカおやじのテツオ：エレベーターを修理してくれる老人。
カジワラ少尉：シャッターを開けてくれる軍人。
「聖なる輪」司祭：カルト教団の教祖。

スタッフ

企画：藤本裕、小林祥理
プログラム：藤原宏行、前田武史、笹木昭利、山下淳逸
グラフィック：行澤星人、山下英二、梶野潤、武村昌美、菅野幸一、杉本宏訓、大西伸治、小沢大、山田剛、仲田順子、那須美登里、田辺雄大、柳本雄樹
キャラクター・衣装デザイン：中野勢吾
音楽：Rick Hilman、友枝良平、慧奏、田中峰彦、和唐直樹、藤田晴美、北浦正尚
ムービー編集：加々本裕樹、田中圭介
スペシャル・サンクス：吉冨香織、山本晃康、津久井功貴、吉川洋道、喜渡真人、生田哲也
プロデューサー：田中裕之
エグゼクティブ・プロデューサー：横山秀幸

評価

ゲーム雑誌『ファミ通』の「クロスレビュー」では、7・7・7・7の合計28点（満40点）を獲得しています。肯定的な意見としては、「音と振動による恐怖演出が斬新」、「敵から逃げる際の恐怖感が強い」、「個性的な世界観とキャラクターが恐怖感を増幅させる」などが挙げられています。一方、否定的な意見としては、「3D迷路が単調に感じる」、「仲間システムに不満がある」、「謎解きよりも移動が面倒」、「ゲームにつき合わされている感じがする」などが挙げられています。