ダーレク収容所

ドクター・フー第7シリーズ第1話「ダーレク収容所」：詳細解説

2012年9月1日、イギリスのSFドラマ『ドクター・フー』の第7シリーズが、「ダーレク収容所」という衝撃的なエピソードで幕を開けました。本エピソードは、スティーヴン・モファットの脚本、ニック・ハラン監督による作品で、11代目ドクター（マット・スミス）、エイミー・ポンド（カレン・ギラン）、ローリー・ウィリアムズ（アーサー・ダーヴィル）らお馴染みの登場人物が、前代未聞の危機に直面します。

囚われた三人とダーレクの陰謀

物語は、ドクターがダーレクに捕らえられる場面から始まります。エイミーとローリーもまた、彼らと共に囚われの身となり、精神的に不安定なダーレクたちが幽閉されている惑星へと送られます。その惑星は、ダーレクの収容所と化しており、彼らは惑星脱走を阻止するため、収容所を爆破するという、極めて危険な任務を強要されます。

追い詰められた状況の中、ドクターは1年前にこの惑星に墜落し、以来ダーレクに囚われていたオズウィン・オズワルド（ジェナ・ルイーズ・コールマン）と出会います。彼女は後にシリーズの重要な役割を果たすことになる新コンパニオンであり、ドクターはこの予期せぬ出会いを機に、彼女の協力を得て脱出を図ろうとします。

ダーレクの恐怖の再燃と新コンパニオンの登場

「ダーレク収容所」は、シリーズ50周年を記念する一大イベントとして企画されました。様々な時代のダーレクが登場し、往年の恐怖を再び呼び覚ますことを目的としていました。特に、ジェナ・ルイーズ・コールマン演じるオズウィン・オズワルドの登場は、番組における大きな転換点となりました。彼女は本作で初登場し、後のクリスマススペシャル「スノーメン」で正式なコンパニオンとして活躍することになります。

コールマンのキャスティングは事前に報道されていましたが、彼女の出演がオズウィンというキャラクターであることは、放送まで厳重に秘密にされていました。このサプライズは、視聴者に大きな衝撃を与え、放送後の話題をさらに大きくしました。

前日譚とシリーズとの繋がり

本エピソードの放送に先駆け、iTunes、Zune、Amazonプライム・ビデオで前日譚が公開されました。この前日譚では、ドクターがダーレクの故郷の惑星スカロへと導かれるまでの経緯が描かれ、本編への期待感を高める役割を果たしました。さらに、エイミーとローリーの仲違いを示唆するミニシリーズ「Pond Life」も、本エピソードの放送に合わせて配信され、物語への伏線として機能しています。

「ダーレク収容所」では、過去のエピソードに登場したダーレクや、ドクターの過去の行動、さらには過去のシリーズと繋がりのある要素が多数登場します。これらの要素は、シリーズ全体の世界観をより深く理解するために不可欠なものです。

製作の裏側：ダーレクの恐怖を再び

エグゼクティブ・プロデューサーのスティーヴン・モファットは、ダーレクを「宇宙で最も確実に倒すことのできる敵」と捉え、彼らを一時的に休ませることを宣言していました。しかし、彼はダーレクの持つ本来の恐怖を再認識させ、視聴者に彼らの脅威を改めて思い出させる必要性を感じていました。そのために、彼は「ダーレク収容所」でダーレクをこれまで以上に狂気に満ちた存在として描写することを決意しました。

様々なタイプのダーレクが登場する本エピソードでは、過去シリーズに登場したダーレクのモデルも多数使用されています。これらのモデルを集める過程では、過去のプロデューサーであるラッセル・T・デイヴィスが所有していたダーレクも提供され、製作陣のこだわりが伺えます。

ジェナ・ルイーズ・コールマンのキャスティングも、モファットのアイディアによるものでした。彼女の出演は秘密裏に進行され、放送までリークされることはありませんでした。撮影は閉鎖的なセットで行われ、特殊効果も駆使して、完成度の高い映像が実現しました。

放送と批評家の反応

「ダーレク収容所」は世界各国で放送され、高い視聴率を獲得しました。イギリスでは、放送当日の視聴率は低かったものの、タイムシフト視聴者を含めた最終視聴者数は833万人に達しました。BBC iPlayerでも高い再生回数を記録し、大きな話題となりました。

批評家の反応も概ね好意的でした。脚本、演出、俳優陣の演技、特殊効果などが高く評価され、特にジェナ・ルイーズ・コールマンの演技は絶賛されました。一方で、エイミーとローリーの破局描写については、若干の批判的な意見も上がりました。

ホームメディア

日本では、本エピソードを含む『ドクター・フー ニュー・ジェネレーション DVD-BOX 2』が発売されました。

「ダーレク収容所」は、シリーズの伝統と革新が融合した、記憶に残る傑作と言えるでしょう。

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