チア (植物)

チア（Salvia hispanica）

チアは、シソ科アキギリ属に属する一年生の草本植物であり、その原産地はメキシコ中部から南部、さらにはグアテマラに広がっています。この植物は、16世紀のメンドーサ絵文書においても言及されており、先コロンブス時代のアステカ文化において重要な食用作物の一つとして栽培されていました。トウモロコシと同様に、この地域の人々にとって欠かせない存在であったと考えられています。

語源

「チア」という名称は、ナワトル語で「油っぽい」を意味する「chian」に由来しています。また、メキシコのチアパス州は、ナワトル語の「チアの水」または「チアの川」を意味する名前が付けられています。この植物の他にも、Salvia columbariaeという類似種も「チア」として知られています。

植物の特徴

チアは成長すると約1.75メートルに達し、葉は幅が3〜5センチメートル、長さが4〜8センチメートル程度の大きさになります。花は紫色または白色で、茎の先端に房状に咲きますが、その美しい花を楽しむことも可能です。

チアシード

チアは主にその種子であるチアシードのために商業的に栽培されています。チアシードは食用として広く使用され、スーパーフードとしての人気を誇ります。これらの種子は、オメガ-3脂肪酸が豊富で、特にα-リノレン酸を含む油脂が25から30%程度得られるため、健康志向の人々にとって貴重な栄養源となっています。

チアシードは直径約1ミリメートルの楕円形をしており、色は茶色、灰色、黒色、白色のまだら模様が見られます。また、この種子は親水性であるため、水に浸すとその質量の12倍もの水分を吸収し、粘液質のゲル状の物質を形成します。この特性がチアを使用した飲料に独特の食感を与える要因となっています。

チアシードは、パラグアイ、ボリビア、アルゼンチン、メキシコ、グアテマラ、アメリカ合衆国南西部などで、粉砕されたりそのままの形で食べられてきました。そして、21世紀に入ると、ヨーロッパやその他の地域でも消費が拡大し、2008年時点ではオーストラリアが最大の生産国として知られています。

装飾的な利用

アメリカ合衆国では1980年代にチアペットという商品が登場し、チアの需要が著しく増加しました。これは、チアシードが入ったペーストを動物などの形の台に塗り、毛のように発芽させて楽しむというもので、年々人気を博しています。現在、アメリカでは年間約50万個のチアペットが販売されています。

チアはその栄養価だけでなく、魅力的な見た目にも楽しむことができる植物として、古代から現代にかけて人々に愛され続けています。

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