チェインメイル (ゲーム)

『チェインメイル』：中世ウォーゲームとファンタジーの融合

『チェインメイル』は、ゲイリー・ガイギャックスとジェフ・ペレンによって創造された、中世を舞台としたミニチュアウォーゲームです。1971年にガイドン・ゲームズから発売され、ウォーゲームのジャンルに新たな風を吹き込みました。このゲームは、単なる歴史シミュレーションに留まらず、ファンタジー要素を取り入れたことで、後のロールプレイングゲーム『ダンジョンズ&ドラゴンズ』(D&D)の誕生に大きな影響を与えました。

誕生の背景

ガイギャックスは、友人でホビーショップ経営者のジェフ・ペレンが作成したルールを基に、『チェインメイル』の中核となるシステムを構築しました。ガイドン・ゲームズは、ガイギャックスに「ミニチュアを用いたウォーゲーム」シリーズの制作を依頼し、その結果として『チェインメイル』が誕生しました。初期の版には、中世ウォーゲームのルールに加え、「ファンタジー・サプリメント」というセクションが含まれており、英雄、魔法使い、ドラゴンなどの幻想的なキャラクターや要素が登場しました。

ゲームシステムの特徴

『チェインメイル』は、複数の異なるウォーゲームシステムで構成されています。

大規模戦闘ルール: トニー・バスの中世戦闘システムに影響を受け、1つのフィギュアが20名の兵士を表す大規模な戦闘をシミュレートします。兵種は、軽歩兵、重歩兵、騎兵などに分類されます。
1対1の戦闘ルール: 1つのフィギュアが1名の兵士を表し、より詳細な戦闘を再現します。武器の種類と装甲度を関連付けた表を使用し、命中判定を行います。
馬上戦闘ルール: 郵便を利用したプレイのために作成されたルールで、馬上槍試合のトーナメントに参加できます。
ファンタジー戦闘ルール: 想像上の生物や戦士が登場し、互いを倒すために必要な命中判定を示す表を使用します。これにより、ファンタジー世界での戦闘をシミュレートできます。

ファンタジー・サプリメント

ガイギャックスは、ロバート・E・ハワードの『英雄コナン』のような冒険アクションをウォーゲームに取り込みたいと考えていました。その結果、『チェインメイル』にはファンタジー・サプリメントが追加され、エレメンタル、魔法の剣、ファイアーボールなどの呪文が登場しました。また、クリーチャーは、ポール・アンダースンの属性哲学に基づいて、法と混沌に分類されました。ファンタジーのクリーチャーは、史実的な相手と戦う場合、基本的な兵種のいずれかとして扱われます。

『ダンジョンズ&ドラゴンズ』への影響

『チェインメイル』は、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の戦闘システムに大きな影響を与えました。D&Dの初期には、プレイヤーはミニチュアを使用せずにプレイすることが多かったものの、戦闘の際に視覚的な補助が必要な場合には、『チェインメイル』のルールが参照されました。特に、ファンタジー要素を取り入れたことで、D&Dの世界観を構築する上で重要な役割を果たしました。

『チェインメイル』は、単なるウォーゲームとしてだけでなく、その後のロールプレイングゲームの発展に貢献した作品として、その名を歴史に刻んでいます。

参考文献：

RPG.netでのレビュー1
RPG.netでのレビュー2

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