チェコ組曲

『チェコ組曲 ニ長調』（作品39）は、アントニン・ドヴォルザークが1879年に作曲した管弦楽のための組曲であり、「組曲『ボヘミア』」とも呼ばれます。彼の出世作となった『スラヴ舞曲集』（第1集）に続く作品として知られています。

概要

1879年4月に完成し、同年5月16日にプラハ国民歌劇場のオーケストラによって初演されました。指揮はアドルフ・チェフが担当しました。ドヴォルザーク自身もかつてこのオーケストラのメンバーでした。

楽器編成

フルート：2
オーボエ：2
コールアングレ：1（第4曲のみ）
クラリネット：2
ファゴット：2
ホルン：2
トランペット：2（終曲のみ）
ティンパニ：1対（終曲のみ）
* 弦五部

コールアングレは第4曲「ロマンス」でのみ使用されますが、オーボエからの持ち替えは想定されていません。トランペットとティンパニは終曲でのみ登場します。

構成

全5曲から構成され、演奏時間は約23分です。

1. 第1曲：前奏曲

バグパイプを思わせる牧歌的な旋律が特徴です。

2. 第2曲：ポルカ

叙情的な雰囲気と、中間部の明るく軽快な旋律が印象的です。

3. 第3曲：メヌエット

ボヘミアの民族舞踊であるソウセツカー（Sousedská）のリズムが取り入れられています。

4. 第4曲：ロマンス

フルートが弦楽器の伴奏に乗せて感傷的に歌い上げる夜想曲です。

5. 第5曲：フィナーレ（フリアント）

ボヘミアの民族舞踊フリアントのリズムが用いられ、高揚感に満ちたフィナーレを飾ります。

『チェコ組曲』は、ドヴォルザークの初期の作風を代表する作品であり、ボヘミアの民族色豊かな旋律と舞曲のリズムが魅力です。各楽章が個性的な表情を持ちながらも、全体としてまとまりのある組曲として親しまれています。

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