チェスボクシング

チェスボクシングとは

チェスボクシングは、知的な戦略を必要とするチェスと、激しい肉体的な格闘技であるボクシングを交互に行うという、他に類を見ない複合スポーツです。このユニークな組み合わせは、1992年にフランスの漫画家エンキ・ビラルによって考案され、彼の作品『冷たい赤道』の中で描かれました。

歴史

チェスボクシングが実際に競技として形になったのは、ビラルの作品に触発されたオランダ人アーティスト、イープ・ルービングがきっかけです。ルービングは、精神と肉体の両極を組み合わせることで、芸術的な表現が可能になると考え、2003年に世界チェスボクシング機構（WCBO）を設立しました。そして、アムステルダムで第1回世界選手権を開催し、競技としてのチェスボクシングがスタートしました。ルービング自身も初代ミドル級王者となっています。当初の目標は、この競技をオリンピック種目として採用することでした。

ルール

チェスボクシングの試合は、合計11ラウンドで構成されます。その内訳は、チェス（早指しチェス）が6ラウンド、ボクシングが5ラウンドです。各ラウンドの間には1分間の休憩が設けられています。

勝利条件は、チェスのラウンドで相手をチェックメイトするか、相手の持ち時間（9分）を使い切らせるか、またはボクシングのラウンドでノックアウトまたはテクニカルノックアウトを奪うことです。11ラウンドを戦い終えても決着がつかない場合は、ボクシングの判定によって勝敗が決まります。試合時間は、最終ラウンドまで戦った場合、約45分となります。

対戦

2004年4月17日には、日本で初めてのデモンストレーションファイトが開催されました。この試合では、イープ・ルービングと柳瀬総一郎が対戦し、ルービングが7ラウンド目のチェスでチェックメイトを決め勝利しました。

また、2005年にはベルリンで第1回欧州チェスボクシング選手権が開催され、ブルガリアのTihomir TitschkoがドイツのAndreas Schneiderを破り優勝しました。

類似スポーツ

チェスボクシングに似た試みとして、「探偵!ナイトスクープ ザ・ゴールデン」というテレビ番組で、「将棋ボクシング」という企画が行われました。この企画では、チェスの代わりに将棋を使用し、30秒のボクシングと、一手20秒制限の将棋を交互に行いました。将棋棋士の先崎学九段（当時八段）と、元ボクシング世界チャンピオンの井岡弘樹が対戦し、先崎が将棋のラウンドで井岡を詰みの状態にまで追い込みましたが、時間切れとなり、続くボクシングラウンドで井岡が先崎をノックアウトして勝利しました。この試合は、チェスボクシング同様に、知力と体力という両極の要素が組み合わさった面白い例です。

まとめ

チェスボクシングは、単なるスポーツの枠を超え、知性と肉体の融合を追求する芸術的な要素も持ち合わせています。その独創的なルールと、激しい試合展開は、多くの人々を魅了しています。今後、さらに多くの人々に知られ、発展していくことが期待されます。

脚注

The official WCBO site（英語）
[先崎学]] (2011). 今宵、あの頃のバーで. 日本将棋連盟. p. 148. ISBN 9784839940805. [https://books.google.co.jp/books?id=SyBcxw2t7PkC&pg=PA148#v=onepage&q&f=false

関連項目

チェス
ボクシング

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