チェリー・ピッキング

チェリー・ピッキングとは？

チェリー・ピッキング、英語でいうところの「cherry picking」は、多数の事例の中から自分の主張に都合の良い証拠だけを選択し、それに反する証拠を無視する行為を指します。この手法は、科学や議論においてしばしばみられ、信頼性のある証拠に基づくものではなく、特定の立場を支持するための操作的なテクニックとして使われることが多いです。

語義と背景

「チェリー・ピッキング」という言葉は、熟していない果実から美味しい部分を選び出す行為に由来します。これが比喩的に使われ、情報や証拠の中から利用したい部分だけを抜き出す状態を示すようになりました。ドイツ語では「Rosinenpicken」と呼ばれ、同様の意味で使われます。

科学とチェリー・ピッキング

基本的に質の高い科学は、利点だけでなく、すべての証拠に目を通さなければならず、自らのバイアスを最小限に抑えて、実際に何が機能しているかを明らかにする必要があります。にもかかわらず、チェリー・ピッキングは多くの科学否定論者によって利用されており、気候変動やワクチンに対する議論など、様々なケースで問題視されています。

医学における例

2002年の研究では、抗うつ薬の試験において、意図的または無意識的にチェリー・ピッキングが行われていたことが明らかになりました。研究者たちは、試験参加者のほとんどが日常の臨床での患者とは条件が異なることを示しました。このように特定の条件を選択することで、抗うつ薬の有効性の評価が誤って行われるリスクが生じます。

議論と引用

議論の場でチェリー・ピッキングは「恣意的な引用」とも呼ばれます。つまり、文脈を無視して選択的に引用し、自らの立場を誇張する方法です。正確な事実であっても、その引用が本来意図した内容とは異なる解釈を生むことがあり、データや証拠の誤った形での理解を助長します。このような手法が一般に広がると、誤解や偏見を生むことになります。

一方的な主張の影響

一方的な主張やチェリー・ピッキングは、誤解を広めるためのプロパガンダテクニックとしても知られています。特に政治の場において、自身に有利な情報を強調し、逆に不利な情報を抑圧する行為が頻繁に見られます。このような状況が続くと、情報の不均衡が生まれ、公共の議論が偏った見解に支配される恐れがあります。

ビジネスにおける適用

ビジネスの領域でも、チェリー・ピッキングは応用されます。特に健康保険会社などは、健康な顧客を選択的に対象にしたり、収益性の高い部分だけを抜き取る戦略を取ることがよくあります。これにより、企業はリスクを減少させつつ、利益を最大化することが可能になります。

結論

チェリー・ピッキングは一見すると魅力的な技術ですが、それに依存することは誤った情報伝達を助長し、正確な理解を妨げることになります。どのような場面においても、情報の正確さと公正さを確保するためには、できるだけ広い視点から証拠を考慮し、バランスの取れた議論を心掛ける必要があります。

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