チェロソナタ第2番 (メンデルスゾーン)

チェロソナタ第2番 ニ長調 作品58

フェリックス・メンデルスゾーンが作曲したチェロとピアノのためのソナタで、全2曲あるチェロソナタのうちの第2番にあたる作品です。ニ長調、作品番号58が付されています。

概要

本作は、メンデルスゾーンがその創作活動において最も充実していた時期にあたる1843年に書かれました。作曲にあたっては、チェロ奏者であった弟パウルや、親交の深かったイタリアの著名なチェロ奏者アルフレード・カルロ・ピアッティからの助言を得たと伝えられています。ピアッティは、後にこのソナタの献呈相手となる人物です。こうした身近なチェリストたちとの交流や専門的な視点を取り入れることで、チェロの特性を深く理解した、効果的な作品が生まれたと言えるでしょう。その完成度の高さは、かつてロベルト・シューマンも高く評価したとされるチェロソナタ第1番と比較しても、さらに楽想の奥行きが増し、表現の幅が広がった、作曲家の円熟と意欲を示す作品となっています。

このソナタの初演は、完成の翌年である1844年に行われました。メンデルスゾーンは生涯で8度イギリスを訪れていますが、この初演は8度目の訪問の際、ロンドンで実現しました。チェロはピアッティが担当し、ピアノはメンデルスゾーン自身が演奏しました。その後、この作品はロシアの伯爵であるミハイール・ヴィエリホルスキー（ミハイル・ヴィーホルスキ）に献呈されています。ヴィエリホルスキー伯爵は、アマチュアながらチェリストとしても知られていた人物です。

楽曲構成

チェロソナタ第2番は、古典的な4楽章構成をとっており、演奏時間は約25分です。

第1楽章 アレグロ・アッサイ・ヴィヴァーチェ
ニ長調、8分の6拍子。ソナタ形式。快活で生命力にあふれる楽章です。

第2楽章 アレグレット・スケルツァンド
ロ短調、4分の2拍子。速度指示に「スケルツァンド」とある通り、軽妙で機知に富んだ楽章です。

第3楽章 アダージョ
ト長調、4分の4拍子。緩やかなテンポで歌われる、情感豊かな楽章です。

第4楽章 モルト・アレグロ・エ・ヴィヴァーチェ
ニ長調、4分の4拍子。ロンド形式。非常に速く、生き生きとした終楽章で、華やかに締めくくられます。

各楽章は対照的な性格を持ちながらも、全体として統一感があり、チェロとピアノが緊密に対話する形で進行します。特に、ヴァイオリンやヴィオラ奏者でもあったメンデルスゾーンが、チェロという楽器の可能性を深く追求し、その豊かな響きや歌謡性を引き出そうとした姿勢が随所に見られます。このソナタは、メンデルスゾーンの後期の室内楽作品の中でも特に優れたものの一つとされています。

外部リンク

* チェロソナタ第2番 作品58の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト (IMSLP) にて閲覧可能です。

このソナタは、メンデルスゾーンの円熟した作曲技法と、チェロという楽器への深い愛情が結実した、チェロソナタの重要なレパートリーの一つと言えるでしょう。

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