チェンジH

『チェンジH』と『トランススイッチ』：性転換をテーマにしたアンソロジーコミックの軌跡

『チェンジH』は、少年画報社が発行していたアンソロジーコミックのシリーズであり、後にリニューアルされた『トランススイッチ』についても解説します。

概要

『チェンジH』は2009年7月に創刊され、当初は不定期刊行でしたが、後に季刊化されました。2011年に一度休刊し、2012年に復刊。しかし、2013年に再び休刊となり、誌名を『トランススイッチ』に変更してリニューアル創刊されました。トランススイッチまで含めた通巻は第11号が最新となります。

各巻の定価は、『チェンジH』が980円（税抜）、『トランススイッチ』が1200円（税抜）でした。

創刊と季刊化

『チェンジH』は、「TS（トランス・セクシャル）コミック」と銘打ち、異性に転換する物語をテーマとしたアンソロジーとしてスタートしました。しかし、実際には女装や男装といった異性装を扱った作品も多く掲載されていました。特に創刊号の「pink」では、トランスセクシャルを主題とする作品は全12作品中4作品にとどまりましたが、号を重ねるごとにTS作品の割合が増加していきました。

各号には「pink」「blue」といった色の名前が付けられ、タイトル文字のテーマカラーとなっていました。当初は単発のアンソロジーコミックとして出発し、後に季刊となりましたが、あくまで季刊ペースの単行本という扱いでした。

掲載作品の単行本化の際には、「TSコミックス」という専用レーベルから刊行されました。また、『チェンジH』自体もアンソロジーコミックであるためTSコミックレーベルでの扱いとなり、リニューアル後の『トランススイッチ』も同様にTSコミックとして扱われました。

2010年4月26日発売の第3号「yellow」より雑誌コードを取得し、季刊化されましたが、2011年4月15日発売の第7号「white」をもって約1年7ヶ月の発行休止となりました。再開は2012年夏に予定されていましたが、同年12月まで延期されました。休止期間中には、少年画報社の『月刊ヤングキング』において、2011年9月号から2012年12月号まで、期間限定でチェンジHのシリーズ作品が連載・掲載されました。

季刊化されてから特設公式サイトが設けられましたが、第7号「white」発売以後、最新情報は第6号「red」のまま更新が停止していました。広報担当キャラクターとして、たぬきの「ぽんきち」が存在していました。

復刊と新装刊後

2012年12月19日に新装刊として「チェンジH orange」が発売され、リニューアルに際して表紙のロゴが変更されました。しかし、その次号である2013年3月29日発売の「チェンジH peach」において、次号以降は『チェンジH』の誌名を変更して新装し、連載作品は後継誌にて継続することが発表されました。

新誌名は『トランススイッチ』に決定し、2013年11月30日発売の「2013WINTER」号より使用されました。新装刊に際して、トランススイッチ第1号である2013WINTER号には「オール新作性転換アンソロジー」とのキャプションが加えられ、異性装作品は排除されました。発行間隔は年4回の季刊刊行（3・6・9・12月発行・前月発売）と発表され、トランススイッチへの新装刊後のペースも季刊ペースでした。

続いてトランススイッチ第2号「2014SPRING」は2014年2月28日に発売されましたが、同号において連載作品の全てが最終回を迎えました。なお、トランススイッチ第3号は刊行予告がなく、終了告知も特に行われないまま、2014年5月末以降に続刊は発売されていません。

掲載作品について

『チェンジH』および『トランススイッチ』には、多くの連載作品と読切作品が掲載されました。これらの作品は、性転換や異性装といったテーマを扱い、読者に多様な物語を提供しました。

『月刊ヤングキング』での連載や読切掲載も行われ、本誌の発行休止期間中も作品が発表される機会がありました。

詳細な作品リストは、元記事に記載されております。

TSコミックス

単行本として扱われる一方で、流通の都合上「雑誌扱い」とされ、雑誌コードが発行されていました。『チェンジH』および『トランススイッチ』も、アンソロジーコミックであるため、レーベルとしてはTSコミックスに含まれます。

判型は原則的にB6判ですが、『のぞむのぞみ』についてはA5判で刊行されました。本誌『チェンジH』および『トランススイッチ』はすべてA5判でした。

本編全話が『月刊ヤングキング』にて連載された『エクロール』（内々けやき）と、『月刊ヤングキングアワーズGH』に移籍した『ひとよひとよに乙女ごろ』（今村陽子）は、TSコミックスではなく「YKコミックス（ヤングキングコミックス）」レーベルにて単行本が刊行されました。

『チェンジH』と『トランススイッチ』は、性転換というテーマに特化したアンソロジーコミックとして、一定のファンを獲得しましたが、短期間での誌名変更や連載終了など、その歴史は決して平坦なものではありませんでした。

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