チェーザレ・デステ

チェーザレ・デステ：激動の時代を生きたモデナ公

チェーザレ・デステ（Cesare d'Este, 1561年10月8日 - 1628年12月11日）は、モデナ＝レッジョ公として知られていますが、その生涯は激動の時代を象徴するものでした。彼は、フェラーラ公国の最後の公であり、その後の歴史に大きな影響を与えることになります。

生い立ちと公位継承

チェーザレは、フェラーラで、モンテッキオ侯アルフォンソ・デステ（フェラーラ公アルフォンソ1世の庶子）と妃ジューリア・デッラ・ローヴェレの長男として生を受けました。彼の従兄には、フェラーラ公およびモデナ公であったアルフォンソ2世・デステがいました。アルフォンソ2世が1597年に嫡子なく死去したことで、チェーザレが公位を継承することになりました。しかし、この継承は、その後のフェラーラの運命を大きく変えることになります。

フェラーラ公国の没収

チェーザレが公位を継承した直後、神聖ローマ皇帝ルドルフ2世とローマ教皇クレメンス8世は、嫡出子にのみ継承権を認めるという主張を繰り広げました。これにより、1598年にフェラーラ公国は教皇領として没収されてしまいます。この出来事は、チェーザレにとって大きな転換点となり、彼の統治は困難を極めることになりました。

モデナへの首都移転と波乱

フェラーラ公国を失ったチェーザレは、首都をフェラーラからモデナに移すことを余儀なくされました。この移転は、新たな問題を引き起こします。フェラーラ貴族とモデナ貴族の間に深刻な対立が生じ、チェーザレはその仲介に奔走することになりました。さらに、ガルファニャーナの所有権をめぐってルッカ共和国との間で戦争が勃発するなど、国内は混乱に満ちていました。

家庭生活と人物像

チェーザレは1586年に、トスカーナ大公コジモ1世の庶子であるヴィルジニア・デ・メディチと結婚しました。しかし、ヴィルジニアは早くから精神を病み、晩年まで苦しみ続けました。チェーザレ自身は、穏やかで信心深い人物として知られていましたが、政治的な才能には欠けていたと評価されています。

後継者と子孫

チェーザレの死後、公位は息子のアルフォンソ3世・デステが継承しました。チェーザレには、ジューリア、アルフォンソ3世、ルイージ、ラウラ、カテリーナ、イッポーリト、ニッコロ、ボルソ、フォレスト、そして尼僧となったアンジェラという多くの子女がいました。

チェーザレ・デステの生涯は、当時のイタリアにおける政治的混乱と権力闘争を象徴しています。彼は、激動の時代に翻弄されながらも、自らの領地を守り、家族を養い、その子孫はその後も歴史の中で重要な役割を果たすことになります。

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