チオ硫酸アンモニウムとは？意味をやさしく解説

チオ硫酸 アンモニウム

チオ硫酸アンモニウム（英：Ammonium thiosulfate）は、化学式 (NH₄)₂S₂O₃ で表される物質であり、チオ硫酸のアンモニウム塩です。この化合物は経口毒性が低く、ラットのLD50は2890mg/kgです。

この化合物は強い吸湿性を持つ白色の斜方晶で、加熱すると150℃以上で亜硫酸アンモニウム、硫黄、アンモニア、硫化水素、水に分解します。また、水には容易に溶けますが、アセトンには少ししか溶けず、アルコールやエーテルには全く溶けません。空気中では不安定ですが、アンモニア中では安定しています。

チオ硫酸アンモニウムの製造は、まず炭酸水素アンモニウムを二酸化硫黄と水で反応させ、亜硫酸アンモニウムを生成します。次に、この亜硫酸アンモニウムを濾過して不純物を取り除き、硫黄と一緒に煮沸します。この後、再度濾過、蒸発、冷却を行い、結晶化と遠心分離を通してチオ硫酸アンモニウムが得られます。

さらに、チオ硫酸カルシウム水溶液と炭酸アンモニウム水溶液を混ぜる方法でも製造が可能で、ここで生じる炭酸カルシウムの沈殿を回収することによってチオ硫酸アンモニウムを得ることができます。

[チオ硫酸]]ナトリウムの代わりに使用されることが多く、写真の定着剤として非常に有用です。チオ硫酸アンモニウム由来の銀錯体は、チオ硫酸ナトリウム由来のものと異なり、熱分解後に硫化銀]のみが残るため、[銀の回収が容易です。さらに、洗浄時間が短縮でき、ハロゲン化銀をより効果的に溶解する特性も持っています。以下に、臭化[[銀]との反応式を示します。

$$AgBr + 2(NH₄)₂S₂O₃ \rightarrow (NH₄)_3[Ag(S₂O₃)_2] + NH₄Br$$

また、チオ硫酸アンモニウムは肥料としても使用され、植物の成長を促進する役割を果たします。

ダイオキシン類やフランといった有害物質の生成を抑えるため、石炭廃棄物の混合物に添加剤として利用されることがあります。

金や銀の精製においても重要な役割を果たし、この過程で触媒の銅が必要とされることがあります。

さらに、その殺菌作用から医療用の殺菌剤や分析試薬としての利用も考えられます。