チチを撮りに

映画『チチを撮りに』

『チチを撮りに』（ちちをとりに、英題：Capturing Dad）は、2013年に公開された日本の映画で、家族のドラマをテーマにした作品です。この映画は中野量太監督の劇場用長編デビュー作であり、彼はもともと自主映画を制作していた監督です。作品は、2012年に開催されたSKIPシティ国際Dシネマ映画祭での受賞をきっかけに、一般公開が決まったという経緯があります。

製作・公開の経緯

当初は自主制作映画であったため、公開や配給の定まっていなかった本作ですが、国際的な映画祭での評価が高まり、製作者側は映画を劇場公開に踏み切ることとなりました。特に、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2012において中野量太はSKIPシティアワードおよび日本人初の監督賞を受賞しました。この成功を受け、2013年に正式に映画館での上映が実施されることとなったのです。また、映画祭での評価は続き、第55回アジア太平洋映画祭では渡辺真起子が最優秀助演女優賞を受賞しました。

さらに、ベルリン国際映画祭のジェネレーション部門にも正式に招待され、国内外の映画祭での活躍が続きました。特に、サハリン国際映画祭ではグランプリを受賞し、国際的な評価が確立されました。本作はイスラエルや台湾でも劇場公開され、海外での反響も大きかったのです。

ストーリー概要

映画のストーリーは、フリーターの姉・葉月と高校生の妹・呼春が中心となっています。彼女たちは父親が14年前に出て行って以来、母・佐和と3人で生活を続けていました。しかし、ある日、母から「父がもうすぐ亡くなるので、会いに行ってその顔を写真に撮ってきてほしい」とお願いされます。この言葉を聞いた姉妹は困惑しつつも、父親に会いたいという気持ちを抱えながら、田舎町へと向かいます。

果たして彼女たちが父親に再会することはできるのでしょうか。そして、待ち受ける人生の試練とは何なのか、物語は深い感情と共に展開されます。姉妹たちは、父親の存在と家族の絆について新たな理解を得る中で、困難に立ち向かう姿を描いています。

キャスト

主要キャストには柳英里紗（葉月）や松原菜野花（呼春）、渡辺真起子（佐和）などが起用され、彼らの演技が物語に深みを与えています。また、叔父を演じる滝藤賢一や、父を演じた二階堂智も重要な役割を果たし、家族の複雑な関係性をリアルに描き出しています。

受賞歴

国内外での受賞歴も豊富で、特に日本では多くの映画祭での評価を受けています。中野量太監督は特に新人監督として注目され、日本映画批評家大賞やヨコハマ映画祭などで賞を受賞しています。渡辺真起子も海外の映画祭で助演女優賞を受賞しており、作品のクオリティの高さを物語っています。

この作品は、家族の絆や愛を考えさせられる深いメッセージが込められており、多くの観客に感動を与えました。『チチを撮りに』は、ただの映画ではなく、家族の理解や再生を描いた心温まる作品として、観る者に強い印象を残すことでしょう。

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