チッタコ・ファリア

チッタコ・ファリアは、ネパールの女性が着用する伝統的な民族衣装で、巻きスカートのような形状をしています。その特徴は、一枚の布を体に巻き付け、帯で固定するという、非常にシンプルながらも機能的な構造にあります。

構造
チッタコ・ファリアは、縦95センチ、横幅約4メートルの一枚の布から作られています。この布には吊り紐や腰紐などはなく、パトゥカと呼ばれる幅約60センチ、長さ約5メートル45センチの長い帯で固定します。素材は木綿のプリント地が多く、模様は更紗風のものがよく見られます。

着装方法

1. 布を右足のあたりから巻き始め、一周させます。
2. 巻き始めの部分とその上に重なる部分の布を、手で仮に押さえます。
3. 外に出ている布端から約1メートルを残し、先ほど押さえた部分から約10センチ幅の襞を畳んでいきます。
4. 襞を整え、最後に畳んだ部分が手前に来るように、正面に折り押さえます。
5. 襞にせず残しておいた部分を、ギャザーを寄せながら腰に巻き付け、左腰で挟んで巻き終わります。
6. パトゥカを腰にぐるぐると巻き付け、固定します。

この着方により、裾は左腰から背中、右腰、腹、左腰へと螺旋状に短くなるラインを描きます。正面には襞を寄せたロングスカートのように見え、その上に斜めにカットされた短いオーバースカートを重ねたような外観となります。

特徴

チッタコ・ファリアの大きな特徴は、その構造と着方にあります。一枚布を巻き付けることで、体型に合わせて調整が可能で、動きやすさも確保されています。また、パトゥカは、単に固定するだけでなく、小物を挟む簡易鞄や腰回りの防寒具としても機能します。

チッタコ・ファリアと合わせて着用される上衣には、チョロと呼ばれる薄手の長袖ブラウスがあります。チョロは、花模様を散らして刺繍した薄い布で作られ、腋には三角のマチがついています。襟は高い左前の打ち合わせで、前身頃は鎖骨のあたりから鳩尾の上にかけて「し」の字型に切り取られています。この部分の紐を袖の付け根と脇腹に取り付けられた紐と結び留めて着用します。

さらに、カストと呼ばれる幅約82センチ、長さ約176センチの横縞模様の木綿のショールを肩にかけるのが一般的です。

その他

チッタコ・ファリアは、そのシンプルながらも美しいシルエットと、機能性から、ネパールの女性たちに広く愛されています。地域によって布の色柄や着こなしに違いが見られることもあり、その多様性も魅力の一つです。

参考資料
* 田中千代『世界の民族衣装 装い方の知恵をさぐる』平凡社

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