チバニアン

チバニアン（千葉時代）について

チバニアンは、77.4万年前から12.9万年前までの期間を指す地質時代であり、この時代は地球の歴史において重要な転換期でした。2020年1月15日、国際地質科学連合（IUGS）は、この時代を「チバニアン（Chibanian、千葉時代）」と正式に命名しました。この名称は、千葉県市原市にある地層が、この時代の国際標準模式層断面（GSSP）の候補地として選ばれたことに由来します。命名決定の記者会見は、1月17日に国立極地研究所で開催されました。

命名の背景

チバニアンという名称が決定されるまでには、国際層序委員会（ICS）において、「チバニアン」または「イオニアン」という名称が検討されていました。最終的に「チバニアン」が選ばれた背景には、千葉セクションの地層が、地球最後の地磁気逆転である松山-ブリュンヌ逆転を示す最良の証拠であると評価されたことがあります。

この地磁気逆転は、カラブリアン（前期更新世）とチバニアンの境界を定める重要な指標となります。国際標準模式層断面の候補地としては、千葉セクションの他に、イタリアのモンタルバーノ・イオーニコセクションとヴァレ・デ・マンケセクションも挙がっていましたが、千葉セクションが最も適切であると判断されました。

2022年5月21日には、千葉セクションの地層に、この時代の境界を示すゴールデンスパイク（国際境界模式標識）が設置されました。これにより、チバニアンは正式な地質時代として認められ、地球の歴史における一つの時代区分として確立しました。

研究不正の疑惑について

チバニアンの決定に至る過程で、国際層序委員会に提出された論文の一部に、古地磁気データの削除（改ざん）の疑義が指摘されました。しかし、茨城大学と国立極地研究所は、この論文が査読付き学術誌に掲載済みであり、結論に影響はないとして、研究不正には当たらないとの見解を示し、調査は実施しない方針を決定しました。

ガイダンス施設整備計画

チバニアンの決定を受けて、2021年度から2026年度にかけて、総事業費約15億円を投じて現地のガイダンス施設等の整備が行われる計画です。この計画では、ガイダンス施設の建物本体に8億円、展示関係に2億円、そして地層までの約500メートルの遊歩道整備に5億円が計上されています。2022年8月には、隈研吾建築都市設計事務所がこの施設の設計を受託しました。これらの施設整備により、チバニアンの重要性や価値が広く一般に伝えられることが期待されています。

チバニアンの気候

チバニアンは、地球の気候変動が激しかった時代でもあります。この時代には、以下のような氷期と間氷期が交互に訪れました。

ギュンツ氷期（47万年前 - 33万年前）
ギュンツ＝ミンデル間氷期（33万年前 - 30万年前）
ミンデル氷期（30万年前 - 23万年前）
ミンデル＝リス間氷期（23万年前 - 18万年前）
リス氷期（18万年前 - 13万年前）
エーミアン間氷期（リス＝ヴュルム間氷期、13万年前 - 7万年前）

これらの気候変動は、地球の環境や生物多様性に大きな影響を与えました。

外部リンク

* チバニアンと地磁気逆転 - 日本地球惑星科学連合2018年大会 地球・惑星科学トップセミナー

チバニアンは、地球の歴史を理解する上で非常に重要な時代であり、その研究は現在も進められています。

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