チャイナ・ガール (1987年の映画)

『チャイナ・ガール』は、1987年に公開されたアメリカ合衆国の映画作品です。監督はアベル・フェラーラ、脚本はニコラス・セント・ジョンが務め、現代的な視点から『ロミオとジュリエット』を再解釈した物語が展開されます。

舞台は1980年代のニューヨーク。マンハッタンのリトル・イタリーに住むトニーと、チャイナタウン出身のタイは、互いに惹かれ合い、恋に落ちます。しかし、彼らの周囲では、それぞれの兄が関わるギャング抗争が激化しつつありました。チャイナタウンとリトル・イタリーという、隣接しながらも異なる文化を持つ地域社会が、物語の背景として重要な役割を果たしています。

この映画は、1957年のミュージカル映画『ウエストサイド物語』にも類似性を指摘されています。『ウエストサイド物語』も『ロミオとジュリエット』を原作としており、マンハッタンを舞台に民族間の対立とギャング抗争を描いている点で共通しています。主人公の名前が共に「トニー」である点も興味深い共通点です。

『チャイナ・ガール』は、1987年9月25日に193館で公開され、週末興行収入は53万1,362ドルを記録しました。アメリカ国内での累計興行収入は126万2,091ドルでした。ビデオカセットはベストロン・ビデオから発売され、DVDはリージョン2でリリースされています。

キャストには、リチャード・パネビアンコ（トニー役）、サリー・チャン（タイ役）、ジェームズ・ルッソ、ラッセル・ウォン、デヴィッド・カルーソ、ジョーイ・チンなどが出演しています。

映画批評家の評価も様々です。『バラエティ』誌は、映画の演出やラッセル・ウォンとジョーイ・チンの演技を高く評価しました。一方、『タイムアウト』誌は、エクスプロイテーション映画としての側面を指摘しつつも、スタイリッシュな演出や、3世代にわたる複雑な人間関係を評価しています。『シカゴ・リーダー』紙のジョナサン・ローゼンバウムは、撮影とアクションシーンの素晴らしさを称賛しました。

『チャイナ・ガール』は、暴力とロマンス、そして異なる文化の衝突を描いた、見応えのある作品と言えるでしょう。現代版『ロミオとジュリエット』としてだけでなく、1980年代のニューヨークの街並みや、ギャング抗争という社会問題を背景にしたドラマとしても楽しむことができます。複雑に絡み合う人間関係、そしてスタイリッシュな演出は、多くの観客を惹きつけてやまない魅力となっています。様々な批評家の評価からも、この映画が、単なる娯楽作品を超えた奥深さを持っていることがわかります。特に、チャイナタウンとリトル・イタリーという舞台設定の妙、そして若者たちの葛藤と、それを取り巻く大人たちの思惑が絶妙に絡み合う構成は、この映画の大きな魅力です。

もう一度検索