チャイナ・シンドローム (映画)

『チャイナ・シンドローム』

『チャイナ・シンドローム』は、1979年に公開されたアメリカのサスペンス映画で、同年のアカデミー賞において主演男優賞や主演女優賞、美術賞、脚本賞などにノミネートされました。また、カンヌ国際映画祭のパルム・ドールにもノミネートされ、俳優のジャック・レモンが男優賞を受賞するなど、映画界で高い評価を受けました。

概要

本作は、原子力発電所を取材中に事故に直面した女性リポーター、事故を未然に防ごうとする原発の技術者、そして利益優先で不祥事を隠蔽しようとする経営者との対立を描いています。タイトルの「チャイナ・シンドローム」は、原発の過酷事故を研究している技術者たちの間で使われていた用語であり、原子炉の高熱によって核燃料が融解し、地面を貫通して地球の反対側にある中国まで達するのではないかという仮説から来ています。これは、実際には不可能であるものの、原発の危険性を象徴しています。

映画は1979年3月16日に公開され、そのわずか12日後にスリーマイル島原子力発電所で実際の事故が発生したことから、映画と現実の事故との関連を疑う声が上がりました。また、この映画により「シンドローム」という言葉が様々な社会現象を表す造語として広まりました。

ストーリー

物語は、アメリカの地方テレビ局の女性リポーター、キンバリー・ウェルズ（演：ジェーン・フォンダ）が主人公です。彼女は、原子力発電所に関するドキュメンタリー取材を担当することになり、カメラマンのリチャード・アダムス（演：マイケル・ダグラス）と共に取材に赴きます。コントロールルームの見学中に、原発でトラブルが発生しているのを目撃しました。密かに撮影された映像を専門家に見せた結果、重大な事故の発生が予見されることになります。

しかし、原発側からは何の発表もなく、技師のジャック・ゴデル（演：ジャック・レモン）が機器の不具合に気づき、大惨事を免れます。キンバリーはゴデルと知り合い、原発の危険性について議論を交わす中、ゴデルは過去の検査が不十分であったことを突き止めます。彼は、即座に発電所の停止と検査を訴えますが、経営陣はその必要性を否定します。

やがて、ゴデルはキンバリーを通じて不正を世間に告発しようと決意しますが、原発側は実力行使に出ます。追手を振り切ったゴデルは、最終的に自ら制御室に立てこもり、テレビ中継を通じて世間に事実を告発しようとします。原発側は対抗策を講じる中、事態は悪化し、ついに事故が発生する寸前まで至ります。ゴデルは、自己犠牲を覚悟で原発の安全を守ろうとしますが、その行動は悲劇的な結末を迎えることになります。

この映画は、原子力の危険性と報道の力、真実を追求する勇気を強調しており、公開以来、多くの観客に衝撃を与え続けています。

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