チャウル海戦

チャウルの戦い

チャウルの戦いは、1508年にインドのチャウル港で起こった海戦で、ポルトガル海軍とエジプトのマムルーク艦隊が対峙しました。この戦いでは、マムルーク側が勝利を収め、ポルトガルにとってはインド洋での初の敗北となりました。

背景

当時、ポルトガルは主にカリカットでの活動に従事していましたが、グジャラート地方がインド洋貿易の中心地としての役割を果たしていました。この地域では、グジャラート人がモルッカ諸島から香辛料を、中国から絹を輸入し、これらをエジプトやアラビアの国々に販売していました。ポルトガルは香辛料貿易の独占を図り、アラブやヴェネツィアの利権を脅かす行動を取りました。

その結果、ヴェネツィアはポルトガルとの外交関係を断ち、エジプトに大使を送ってポルトガルへの対抗策を模索しました。エジプト宮廷では、ポルトガルに対抗するための戦略が検討され、またカリカットのザモリンもポルトガルへの反発を強め、マムルークに助力を求めました。

ただし、マムルーク朝は海軍力をほとんど持っておらず、艦船の建造には多くの課題がありました。木材の調達は難航し、黒海からの輸送が妨げられ、スエズ運河での造船も計画通りには進みませんでした。これらの艦船はエジプトに送られ、船大工の指導の下でようやく完成を見ます。

準備

マムルーク艦隊は、1507年の初頭にアミール・フセイン・アル＝クルディの指揮のもとで出港しました。しかし、ジェッダ市での手続きに時間を要した結果、1508年にようやくディウ港に到着。艦隊は、6隻のキャラック船と6隻のガレアス船から成り、1,500名の戦闘員が参加していました。この艦隊には、カリカットから派遣された大使マイママ・マラッカーも乗船していました。

艦隊は、カリカットのザモリンの艦隊と合流し、インド沿岸のポルトガルの拠点を攻撃する計画を立てました。しかし、ザモリンは既に亡くなっており、彼の指導の下での協同作戦は実現しませんでした。

海戦

ポルトガル艦隊はフランシスコ・デ・アルメイダ総督の息子、ロウレンソ・デ・アルメイダが指揮を執っていました。彼の部隊は数で劣っており、チャウル近くの港に少数の艦船が待機している状態でした。その一方で、マムルーク艦隊は果敢にチャウルに進撃しました。この戦闘は2日間続き、最終的にマリク・アヤースのガレー船団が合流してマムルーク側が優位に立ちました。

ポルトガル艦隊は撤退を余儀なくされ、旗艦はチャウル港の入り口で沈没しました。アミール・フセインはディウ港に戻ったものの、以降のインド海域での活動は断念し、艦船は放棄され、乗組員たちは解散しました。

その後

この戦いの後、ポルトガルはディウ港の艦隊を再攻撃し、1509年には再び勝利を収めました。これらの戦いの延長線上には、オスマン帝国の介入や1538年のディーウ攻囲戦などがあり、インド洋の地政学的状況は大きく変化していきました。

関連項目

• - カンヌールの戦い
• - ポルトガル領インド

チャウルの戦いは、ポルトガル海軍にとって重要な教訓をもたらし、今後の戦略や外交にも影響を与える結果となったのです。

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