チャコ

チャコとは

チャコ（tailor's chalk）は、裁縫時に布に印を付けるための道具です。狭義には、滑石やカオリンの微粉末を油脂で固めたものを指しますが、広義には、チャコペンやロウチャコなど、他の形状や材質のものも含まれます。これらの道具は、布に一時的な印を付けるために用いられます。

材質と形状

「チャコ」という言葉は、英語の「チョーク（chalk）」が転訛したものです。チャコの主な原料は、滑石やカオリンの微粉末で、これらを油脂で練り固めて作られます。形状は、頂点が丸みを帯びた三角形や長方形の薄い板状が一般的で、適度な固さを持ち、布に擦り付けると滑らかに削れます。ただし、衝撃に弱く、落とすと割れることがあります。

製品によっては、縁が薄く中心部が厚くなるように成形され、長い辺が5cm程度、中心部の厚さが3mmから5mm程度と、手のひらに収まるサイズです。

使用法

チャコは、布に対して立てるように持ち、縁を布に押し当てて擦り付け、微粉末を布に付着させて印を付けます。印を消す際は、ブラシで叩き落とすか、洗濯で洗い落とします。ただし、チャコで付けた印にアイロンなどの熱を加えると、消えにくくなるため注意が必要です。

チャコが削れて線が太くなったら、縁を削って薄くして使います。チャコを削る専用の道具「チャコ削り」も市販されています。

色

チャコには、白色の他に、黄色、淡い青、淡い赤などの色付きのものもあります。これは、印を付ける布の色に合わせて使い分けるためです。布の色とチャコの色が似ていると、印が見えにくいため、ある程度異なる色を選ぶ必要があります。ただし、目立ちすぎる色のチャコは、完全に落とせなかった場合に汚れとして目立つため、あまり使われません。

ロウチャコ

ロウチャコは、固形のロウでできたチャコで、ローチャコやロウチョークとも呼ばれます。チャコと同様に薄板状のものと、クレヨンのように棒状のものがあります。使用方法は、布に強く擦り付けてロウを付着させ、印を付けます。ロウが白く見えるため、主に濃色の布に使用されます。

消す場合は、アイロンで加熱してロウを気化させます。ロウチャコは、落としても割れにくく、割れても熱で繋ぎ合わせることができます。紳士服の仕立てや、キルトなど製作期間が長いものの印付けにも利用されます。

派生製品

チャコには、使いやすさを追求した様々な派生製品があります。

粉末型

微粉末状のチャコを専用ケースに入れたもので、ケースを布に当てると、穴からチャコが出て印を付けられます。ケースに粉末を詰め替えられるものもあります。

鉛筆型

チャコを芯にした鉛筆状の製品で、チャコペンシルなどと呼ばれます。通常の鉛筆のように使いますが、削る際は専用のチャコ削りが必要です。シャープペンシル型やノック式芯ホルダー型もあります。チャコを落とすためのナイロンブラシや、専用の消しゴムが付属した製品もあります。

ペン型

一般的にチャコペンと呼ばれるもので、水で消えたり、時間が経つと消える特殊な水性インクを使用します。専用の染み抜きで消すものもあります。極細で一定の太さの線を引けますが、インクが滲みやすい布には向きません。

アイロンで消えるチャコペンは、ペン型のロウチャコで、ロウを揮発性溶媒に溶かしたものをインクとして使用します。描くと溶媒が揮発し、ロウが白く残って印になります。

複写紙型

カーボン紙のようなチャコで、チャコペーパーとも呼ばれます。片面または両面にチャコが塗布されています。片面タイプは、刺繍などで図案を布に転写するために使われ、両面タイプは、布に印を付けるために使われます。チャコペーパーは、チャコペーパー株式会社の登録商標であるため、学校教育では布用複写紙などと記載されます。

チャコは、裁縫において欠かせない道具であり、その種類や使い分けを理解することで、より正確で効率的な作業が可能になります。

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