布

布（ぬの）とは

布とは、織物の総称を指し、織りや編み、または薄く加工された繊維類を表します。かつては、麻や葛などを素材にしたものを特に指していましたが、時代とともに木綿なども含むようになりました。現代では、メリヤス生地やレース、フェルト、不織布に至るまでさまざまな形態が布として認識されています。

歴史

布の起源は古く、布を用いた衣服が着用されるようになったのは、約7万年前と言われています。これには、アタマジラミが進化したコロモジラミの研究が基になります。中国では2200年前の西周時代から織機が使われ、布が生産されていました。また、前漢の馬王堆王墓からは布や書物の形式である帛書が発見されており、古代から布の重要性がうかがえます。

布は税金として納入されることもあり、貴重な材料は通貨のように流通することもありました。日本の飛鳥時代に作成された『大宝律令』には、布を租庸調として扱う記述があります。この時、日本での「布」という概念は、麻や苧、葛などの素材に限られていましたが、絹は特別な素材として区別されていました。宋代の中国では、綿糸加工技術が発展し、様々な織物が生み出されました。

江戸時代、琉球王国では人頭税として宮古上布が納められ、大麻の繊維を使った「大麻布」は日本各地で広く使われました。しかし、第二次世界大戦後、アメリカによって大麻の栽培が禁止され、大麻布の生産は減少しました。それでも一部は神社のしめ縄などで使用され続け、現在はごくわずかではありますが大麻布も作られています。

製造

布の製造は糸から始まります。糸を作るためには、まず紡ぐ作業が必要です。古くは家の中で糸を紡ぎ、同時に織る作業も行われていましたが、次第に分業化が進み、専門的な業者が生まれるようになりました。現在でも、紡績と織物の両方を手がける業者も存在します。

布を作るためには、糸を縦と横に織り合わせる必要があります。これを行うための機械を「はた」と呼び、布を作る工程を「はたおり」と言います。

分類

布はさまざまな基準で分類されます。

織物組織

• - 平織
• - 綾織（ツイル）
• - 朱子織
• - ワッフル織
• - タオル地
• - パイル
• - ビロード
• - ベルベット

素材による分類

• - 晒（さらし）
• - ガス木綿
• - 新モス
• - リネン

特徴・用途による分類

• - 薄手（オーガンジー、シフォンなど）
• - 厚手（デニム、フランネルなど）

和服用の織物

• - 上布、紬など

布の使い方は、古代のギリシアやローマにおいて長い布を体に巻きつけることで形作られた上着に見られるように、文化や用途によってさまざまです。

比喩

「布」という言葉は建築において平らなことを表し、中国語圏ではじゃんけんの「パー」を意味する言葉として利用されています。布はただの素材ではなく、我々の生活や文化に密接に関連しているのです。

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